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重粒子線治療施設「i-ROCK(アイロック)」オープン

[ 2015/12/08 ]
 
神奈川県立がんセンターは、重粒子線治療棟 「i-ROCK (アイロック)」 をオープンした。12月5日、開棟式と内覧会が開催され、国会議員、県会議員をはじめとする多くの関係者が臨席した。同県では2005年に 「がんへの挑戦・10か年戦略」 に「重粒子線治療」を位置づけ整備を進めてきた。現在世界には8つの重粒子線治療施設 (海外4、日本4) があるが、その全治療の8割は日本で行われている。今回の i-ROCK は日本で5番目の施設となる。
 重粒子線治療装置は、2012年1月に株式会社東芝が受注しており、i-ROCK でのがん治療は、当初の計画通り12月中旬から開始される。

■開棟式

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%E9%BB%92%E5%B2%A9%E7%9F%A5%E4%BA%8B.jpg 黒岩祐治知事


 テープカットに続き、黒岩祐治神奈川県知事が主催者挨拶を行った。
 知事は、悲願であった重粒子線治療により、癌に苦しむ患者さんの光明としたいと期待を述べる一方、重粒子線治療について十分なエビデンスが取れていないということを理由に先進医療を外す動きがあることに言及した。
 国内で既に治療が行われている他の4施設は、重粒子線治療を単独で行う施設であるが、i-ROCK はがん専門病院に併設している世界初の重粒子線治療施設である。ここでしっかりとエビデンスを取っていくというのが i-ROCK の考えであるとし、ここから新しいがん治療の地平を切り開きたいと結んだ。



%E5%9C%9F%E5%B1%8B%E7%90%86%E4%BA%8B%E9%95%B7.jpg 土屋了介理事長


 続いて挨拶を行った地方独立行政法人神奈川県立病院機構の土屋了介理事長は、重粒子線治療のこの20年の臨床応用の最高の成果に、早期肺がんがわずか1回の照射で治すことを挙げた。従来の放射線治療では1週間に5回、合計6週間にわたり約30回の照射が必要であった。また、いろいろな臓器のがんに対しても臨床研究が続けられ、いわゆる副作用と言われる放射線照射による障害も、従来の放射線治療に比べて極めて少ない。しかもその間、無事故で20年間に1万人以上の治療を行ってきた。
 神奈川県立がんセンターでは、民間保険の特約が利用できる先進医療を使って重粒子線治療を受ける患者さんと、同じ時期に同じ病院で健康保険を使って肺がんの手術を受ける患者さんとを登録し、両者ともに同じ方法で経過を観察して、データを蓄積する臨床研究を進めることを明らかにした。肺癌以外のがんについても同じように他の治療法との比較ができるような臨床研究を進めていきたいとし、この臨床研究を精力的に進めていくためにも、現行の先進医療制度を継続が必要だと訴えた。



■重粒子線治療
 重粒子線がん治療は、炭素イオン (重粒子) を光の速さの約70%まで加速して、がん細胞に対し体外から照射する放射線治療法である。重粒子線の特長は、がんの形状に合わせた集中的照射が可能なことで周囲の正常細胞を傷つけにくいことから、副作用を減らすことができる点にある。このため患者の身体的負担が少なく、早期の社会復帰を可能にする。
 また、他の放射線治療法と比較して、がん細胞を殺傷する能力が高く、他の放射線治療では治療が難しい肉腫などの難治性のがんにもその効果が期待されている。

 i-ROCK に納入された治療装置には、高速スキャニングビーム照射方式と呼ばれる最新の照射技術を採用している点は国内外の既存施設との大きな違いである。高速スキャンニングビーム照射方式は、ビームの位置や方向を電磁石により自在に制御することで、さまざまな形状の腫瘍に対して正確に照射することが可能である。従来の照射方式(ワブラー法)に比べ、照射精度、治療に要する時間が向上しており、質の高い治療を多くの患者に提供できる。また、従来の照射法では患者ごとに補助器具を作成する必要があったが、この照射法では不要であり、治療開始までの準備時間を大幅に短縮する。



■内覧会

%E6%B2%BB%E7%99%82%E5%AE%A4%201.jpg 治療室 1 

%E6%B2%BB%E7%99%82%E5%AE%A4%204.jpg  治療室 4 

 治療室は4室ある。「治療室 1」 「治療室 4」 は水平方向のみ、「治療室 2」 「治療室 3」 は水平と垂直方向からの照射ができる。コンピュータ制御による 「ロボット治療台」 は、照射位置へ自動に移動し事前に撮影した画像をもとに微調整しながら位置決めをする。治療室全室にCTが設置され精度の高い治療が行える。



%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3.jpg シンクトロン

 イオン源で炭素イオンを発生させ、線形加速器で光速の10%程度まで加速、シンクロトロンへ入射。シンクロトロンの内側に入社器を設置することで、省スペースを図った。



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 i-ROCK は左ての建屋