HOME > 新着ニュース

新着ニュース

手術用ロボットda Vinci を使った裸眼3D映像をライブ伝送 超高速インターネット衛星WINDS(きずな)を介して消化器外科手術の実証実験を実施

[ 2012/02/10 ]
robot.JPG
手術支援用ロボットda Vinci
独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)と超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム*1(以下「URCF」、会長 原島 博) 普及促進部会 立体映像伝送作業班*2は、共同で、手術支援用ロボットda Vinci(ダヴィンチ)*3の3D手術映像を遠隔地に生中継し、裸眼3D映像として提示する遠隔医療の映像伝送実証実験を2月15日(水)に行う。

この実験は、「da Vinci による消化器外科手術」の3D裸眼ハイビジョンライブ映像を藤田保健衛生大学医学部(上部消化器外科、宇山一朗主任教授執刀)から徳島大学医学部(ヘルスバイオサイエンス研究部消化器・移植外科学、島田光生教授担当)へ、超高速インターネット衛星WINDS(きずな)*4を介して、IP伝送をするという世界初の試み。徳島大学医学部講義室には大型裸眼3Dモニタを設置し、全国有数のda Vinci手術件数を誇る藤田保健衛生大学 宇山一朗主任教授による高度な医療技術da Vinci 手術技術の習得や研究を志向する医学関係者、研修医、医学生等が視聴供覧する。

【背景】

NICT とURCF 普及促進部会 立体映像伝送作業班は、すでにCCT2010 Surgical*5において心臓外科手術の3D ハイビジョンの3D ライブ伝送実証実験を眼鏡ありで成功させており、医療現場での3Dの有用性を実証している。ただし、眼鏡なしでの3D裸眼映像を手術現場で求める声は強く、手術補助者やトレーニング術者への有効な手段として技術開発を行い、今回の実証実験に至った。

【今回の実証実験】

本実証実験を実施するにあたり、URCF 普及促進部会 立体映像伝送作業班は、従来は執刀医しか見ることができなかったda Vinci の立体映像を、世界で初めて、手術現場の外へ取り出す技術を確立するとともに、裸眼3D 映像で問題となる画像の乱れを大幅に低減する画像処理技術を開発した。これらの技術とNICT の伝送技術を組み合わせて、裸眼3Dライブ伝送を実現します。本技術により、視聴者が、眼鏡を掛けることの煩わしさから解放され、眼精疲労といった負担を軽減する。実験の目的は、裸眼3D 映像における、遠隔医療の実用性の検証、伝送機の品質評価、WINDSの通信品質評価などであり、裸眼3D映像の遠隔医療の裸眼立体視としての可能性を検証する。

【今後の展望】

本技術の活用により、da Vinci 手術の補助者も、術者と同じ3D映像を見るようになり、精度の高い奥行情報を得ることができる。将来的には、チームサージャリーやドクターオンデマンドの可能性を検証する。裸眼3D ライブ映像は、現実を圧倒的奥行情報量と高精細立体視で再現し、蓄積情報としては時間を超えた供覧に資するもの。本実証実験において、医療関係者のコメント・要望を集め、実用に向けてさらなる技術向上をめざす。

【お問い合わせ】

超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム
普及促進部会 立体映像伝送作業班
中村 康則 (FA・システムエンジニアリング株式会社)
Tel:050-3636-1304
携帯:090-8977-8881
E-mail:nakamura@fase.co.jp

<用語 解説>

*1 超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)
超臨場感コミュニケーションは、あたかもその場にいるような感覚を与える未来のコミュニケーション手段。その実現には、「超高精細・立体映像」「高臨場感音場再生」「触覚・臭覚を含めた五感通信」など多様な技術が求められる。2007 年3 月、超臨場感コミュニケーションに関する研究者・事業者・利用者等が広く参集し、情報交換や異分野間交流を行いながら研究開発・標準化等を効率的に推進していくことを目的に、「超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム」(会長:原島 博 東京大学名誉教授)を設立。 平成24年1月12日現在:会員199名(正会員:83 特別会員:116)http://www.scat.or.jp/urcf/

*2 URCF 普及促進部会 立体映像伝送作業班
URCF には、技術開発部会と普及促進部会の2つの部会があり、普及促進部会では、実証実験や展示会などを通して立体映像技術を社会に広めるための活動を行っている、その下の作業班である立体映像伝送作業班では、これまで二眼式(眼鏡あり)立体映像のIP伝送実証実験などを実施していたが、今年度からは眼鏡なし立体映像伝送を行うための技術開発を行っている。中核メンバーは以下の3社である。
・株式会社NHK メディアテクノロジー(代表取締役社長:西山 博一、住所:東京都渋谷区神山町4-14)
・株式会社 東芝(取締役 代表執行役社長:佐々木 則夫、住所:東京都港区芝浦1-1-1)
・FA・システムエンジニアリング株式会社(代表取締役:中村 康則、住所:愛媛県松山市北藤原町1-26)

*3 手術支援用ロボットda Vinci(ダヴィンチ)
da Vinciサージカルシステムは、米国Intuitive Surgical社の製品である。国内では現在約38台が導入され、今後、多数の導入が見込まれている。術者は、3D 映像下で3 本のアームを遠隔操作することで手術を行うことができる。一般消化器外科、胸部外科(心臓外科を除く)、泌尿器科、婦人科の各科にて内視鏡手術器具操作を支援する装置である。使用に関しては、薬事法承認のトレーニングを受けることが条件となっている。

*4 超高速インターネット衛星WINDS(きずな)
WINDS(きずな)は、NICT と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した技術実証のための超高速インターネット衛星であり、NICTとJAXAが世界最高水準の高度情報ネットワークの形成を目指したプロジェクトを共同で進めている。将来の情報ネットワークの更なる高速・大容量化を想定し、一般家庭でも超小型アンテナ(CS 受信アンテナとほぼ同じ直径45センチ程度)を設置することにより、最大155Mbpsの受信及び6Mbpsの送信を、また企業などにおいては直径5 メートル級のアンテナを設置することにより最大1.2Gbpsの超高速双方向通信の達成を目的としている。

*5 CCT2010 Surgical (Complex Cardiovascular Therapeutics 2010)
2010 年1 月28 日(木)~30 日(土)、神戸国際展示場、ポートピアホテルで開催された、心臓手術の専門家の相互学習、情報交換のための集会。URCF 普及促進部会 立体映像伝送作業班及びNICT は、超高速インターネット衛星WINDS を使って、世界初の心臓外科手術3Dハイビジョン映像ライブ中継(眼鏡あり)に成功した。