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―財団法人 筑波メディカルセンター つくば総合健診センター

Raffineのある風景
―財団法人 筑波メディカルセンター つくば総合健診センター


筑波メディカルセンター


はじめに
“病院で完結する医療”から“地域で完結する医療”へ

石川氏
肝臓がんの外科治療を主とする消化器外科
が専門の石川氏。
「手術による治療には、病変がどの場所にど
れだけ広がっているかを把握することが重要
で、特に悪性所見をとらえる際に医用画像装
置の果たす役割は非常に大きいものがありま
す。また画像の質向上により、早期か進行か、
転移があるかないか、周辺リンパ節の腫大な
どをとらえることができるようになり、『必要の
ない治療』 を避け、患者さんへの負担の軽減
にもつながります」
今回取り上げる、つくば総合健診センターは、「財団法人 筑波メディカルセンター」 直営3事業(病院・健診・在宅ケア)の一翼「健診」を担う。「当法人は茨城県、茨城県医師会、土浦市医師会、つくば市医師会、筑波大学が協力連携し、1982年に設立されました。病院、健診(つくば総合健診センター)、在宅ケアという直営3事業と、茨城県立つくば看護専門学校(茨城県からの委託事業)、筑波剖検センター、臓器移植推進運営(補助事業)から構成されています」、こう話すのは同法人センター長・石川詔雄氏である。

「病院」事業である筑波メディカルセンター病院は1985年、つくば科学万博開催に合わせ、救急医療を担う目的のもと、開設された。「地域医療支援病院として病院周辺の6医師会と連携をとり、診療所や他病院からの紹介患者を中心に急性期の治療を行った後、症状が軽快・安定した患者さんは地域の医療機関への転院や共同診療を勧める、いわゆる病診連携を進めています。『約400名にのぼる地域の診療所の先生方がわれわれの外来』 という認識が強く、病床数のわりに少ない外来患者数となっています」。

同院は救命救急センター、急性期病院として入院診療を行い、茨城県地域がんセンターとして専門医療・緩和ケアという使命を帯びてもいる。「院内には自分の専門領域をとことん追究し、スペシャリストに徹していきたい若い医師が多い。その専門的医療知識を地域の医師に共有してもらい、また専門的先進医療が必要と思われる症状の患者さんを紹介してもらうために、診療科ごとの公開カンファレンスを毎月開催しています」

「健診」 事業を司るのが冒頭にも述べた、つくば総合健診センターである。同センターには 「健診センター」 「健康増進センター」 という2つの機能があり、検査精度やサービス向上に努めるとともに健康づくりを支援している。「健診センターではさまざまな健康診断や脳ドックなどの検診、オプション検査の提案、保健師や管理栄養士による健康相談、また疾患が疑われる人には当院だけでなく地域の医師を紹介するなど、生活習慣病の予防・改善、がんの早期発見などに努めています。また健康増進センターACTは会員制の運動施設で、若い人から高齢者まで広く対応するトレーニングやエアロビクスなどのスタジオプログラムを提供し、生活習慣病予備群の方々の健康改善などをサポートしています。この他にも脂肪肝を疑われる人などの運動プログラム作成、心筋梗塞後の運動療法、そして小児肥満の患児に対する療法など 『医療に近い健康増進』 を意識的に進めているところです」

3つめの直営事業 「在宅ケア」 では 「特に訪問看護に力を入れている」 と石川氏。「急性期病院の運 営では、患者さんを地域の診療所にうまく返せず院内に留めてしまい、新しい治療が必要な患者さんをなかなか受け入れられない事態は避けなければならない。そのために同院の医師と地域の医師、さらにPT、OTも含めたチームの形で訪問看護を利用し、自宅でリハビリ・療養していただいています」。このシステムを 「2人主治医制とよんでいる」 と話す石川氏は、「当初、(私も含め)同院の総合診療科を中心とする医師たちが行っていた 『看とり』 も含めた訪問診療を、最近では在宅医療として本格的に行う医師も生まれてきています。利用者の意識改革なしでは地域医療連携は進まない」 と説く。「患者さんに、かかりつけ医をもつことの大切さ、病診連携をはじめとする地域医療連携を説明し、理解・納得してもらうために、当院では病院見学や市民健康講座を積極的に行っています」

石川氏は最後に、「国の法人制度改革に合わせ、地域医療支援病院としての位置づけをより明確にし、公益性がよりいっそう高い組織にもっていきたいと考えています。でも公益性をもつということは、医療者がよりいっそう勉強、努力しなければならないことでもある。それを怠れば患者さんはついてきてくれませんから」 と、中長期的なビジョンについても語ってくれた。


Raffineが選ばれた理由

Raffine導入前のI.I.DR時代から完全フィルムレス化を実現している同センター。「画像診断機器購入に関しては中長期的に考えており、I.I.DR を導入して10年目を迎えたこともあり、4台まとめての買い替えに踏み切りました。健診では受診者間で精度的な差が出ないことが重要です。技師個人による差はどうしても出てきますが、そこをできるだけフラットにするためにも、同じ装置は同じ時期に入れ替えて一定のレベルに保つことが大切だと考えています」、こう話すのは診療技術部放射線技術科 係長・竹林浩孝氏。

それまでのI.I.DR では歪み、視野の狭さ、そして(I.I. の)劣化などに不満を感じていた同氏は 「FPD導入により、それらが払拭される」 と判断。「昨年病院に導入された東芝社Angio装置の透視画像の評判がよく、それと同じ画像処理技術PureBrainを搭載するFPD製品ということもあり、Raffine に決定しました」。ご自身も他施設での使用経験をリサーチして 「撮影像を見せてもらい、価格と画質とのバランスが最適と感じました」。

同センターに今年5月に導入されたRaffine4台はすべて完全健診(上部消化管検査)に使用され、4台合わせての検査件数は現在、平日で1日55~60件、土曜日は1日30件前後、月約1 ,400件にのぼる。ちなみに病院には東芝社FPD搭載Cアーム型X線TVシステムUltimax-i1台と同FPD搭載X線TVシステムZEXIRA2台が、同じく今年5月に導入されている。
宮本氏
「健診ではコストパフォーマンスや検査時間、また病院では
手術におけるマッピングの必要性からも、X線TV 検査は
重要だと思います」と宮本氏。「技師には初対面の方に1対
1で接する際の人間性が要求されます」とも。

竹林氏
「健診施設ではサービスの迅速さが何よりも求めら
れます。朝、万が一起動時にトラブルがあっても、
東芝社の場合は電話してすぐに見てもらえて、小さ
なトラブルならその場で直る。部品が必要となる場合
でも、その日の午後には調達されます」(竹林氏)。



Raffine導入のメリット:画質と操作性

池垣氏
「40秒前後という起動の速さも大きなメリット。
ZEXIRA、Ultimax-iでも同様ですが、ふだんは電
源を落とし、いざ使用時にすぐ起動してくれるのは、
ランニングコストの面からも非常に大きなメリットです。
またFPDが間接方式になったことで、空調が不要に
なった点も大きいですね」(池垣氏)。
診療技術部 放射線技術科 主任・池垣淳也氏も竹林氏と同様に、I.I.DR で感じていた不満がFPDで解消されたと指摘する。「I.I.DR では同じ胃でも若干視野から欠ける部分がありましたが、FPD は歪みがなく最大視野が33×34cmとワイドに撮影でき、1枚で胃の辺縁も含めて収まります。透視像もI.I.DR より格段に高精細で、偽陽性の病変が減ったと感じています」

画像処理技術PureBrainのAdvanced DCF(Digital Compensation Filter)の優秀さも強調する池垣氏。「I.I.DRで左側臥位と右側臥位を撮影すると、大弯側など空気が重なる端の部分が黒くつぶれ、粘膜が見えなくなってしまっていました。それが解消され、端から端まで綺麗に粘膜を追うことができるようになり、自動調整のみでPACSに送ることができ、快適です」。また竹林氏は 「読影医や技師の好みもあるでしょうが、健診はコントラストを強めて “読影しやすい、病変を浮かせて見つけやすくする” イメージがよいと思います」 と話し、「いままでのフィルムは一部分を強調させるために周りを犠牲にしていたところがありましたが、Advanced DCFにより、画像全体を生かすことができる。これはデジタル、なかでもFPDだからこそ可能な技術だと感じます」

健診センターのRaffineと病院のZEXIRA、Ultimax-iとのリンクについて、竹林氏は 「症例によってはより詳細に観察を行うために病院のX線TVで精査を行う場合もありますが、今後は病院の内視鏡検査とRaffineの検診結果をもとに術式を決定することが可能であると思います。Raffineの画像は手術適応の判断に有用です」。また透視像に関して池垣氏は、「FPDは透視が出力されるまでの時間が若干長いと聞いていたのですが、実際に使ってみるとさほど感じさせず、I.I.DR と遜色ありません」と指摘する。

4月より同センターに赴任し、上部消化管造影検査をモニタ読影する医師東野英利子部長も「以前の検査とは雲泥の差といえる画質のよさに驚いています。Raffineが導入されて、さらなる改善が見られました」と目を見張る。同医師がI.I.DRと比較して特に優れていると感じたのはハレーションの少なさだ。「立位に近い体位で穹隆部を観察するときなど、I.I.DR ではハレーションで情報が欠落することがあったのですが、Raffine では起こりません。また消化管周囲の組織で見られるザラつきも少ない。観察範囲外といわれればそれまでですが、同じことは造影部分にも重なっていると考えられます」。以前の画像との比較においても優れており、「Raffine により、さらに質の高い検査が行われていると感じています」

使い勝手のよさもRaffine の持ち味である。池垣氏は 「管球を100cm近くワイドに動かすことができ、管球に加えて天板を動かしていた手間がなくなった点はうれしい。また腹部臥位撮影では枕を使用するのが普通で、その際の肩当て調節に時間がかかっていましたが、今回、オプションで自動肩当て機能を採用し、検査時間が短縮されました」 と、寝台の機能による操作者と受診者双方のストレス軽減を強調する。

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臨床画像
a:腹臥位正面像。前庭部大彎側に壁変形を認める。小腸ガスと所見が重なっているが、
PureBrainにより黒つぶれのない画像を得ることにより指摘できた症例である。
b:腹臥位正面追加撮影。襞集中を伴う所見を認める。今までのTV 装置(フィルム
スクリーン系およびI.I.DR)よりも、胃粘膜面の詳細な情報を得ることが可能となった。
(提供:財団法人筑波メディカルセンター つくば総合健診センター)


被ばく低減が今後の大きな課題に

「現在はメーカによる初期設定を、あまり変えずに使用している」と竹林氏。「メーカ推奨設定で十分な診断画像が得られると思っています」 と話す一方で 「どれだけ被ばくを低減させて画質を維持できるかが問題」 とも強調する。福島の原発問題もあり 「健診で受診者からの 『被ばく量はどのくらいですか』 という質問が最近すごく増えた」(池垣氏)。

「低線量で問題となるのは透視ですが、メーカの推奨レベルよりも若干下げられるのではないかと感じています。現在4台のうちの1台を調整中で、どこまで下げられるかが課題です」。小さな病変が見つかった受診者に対しての低被ばく撮影が臨床的に耐えられる画像かどうかは 「まだこれからという段階です。ただ、透視で被ばく量を減らしたときの画像の空間分解能は、初期設定時の空間分解能と比較して変化がないので、下げられると思います。東芝社と連携を重ね、来年春までには確定したいと思っています」(竹林氏)。

このような発言が率直に出てくるところに、メーカとの信頼関係の強さが感じられる。
翻って、X 線TV上部消化管検査について診療技術部 放射線技術科 科長・宮本勝美氏は 「健診ではコストパフォーマンスや検査時間、また病院では手術におけるマッピングの必要性からも、X線TV検査は重要と思います」と語る。池垣氏も 「現在健診でも内視鏡検査が増えてきていますが、内視鏡医のマンパワーは全国的にも足りず当施設でも同じことがいえます。また、内視鏡1検査あたりの時間が15分かかりますので検査数に限りがあります。これに対し、X線TVによる上部消化管検査は、検査時間が10 分前後で技師のマンパワーもあり、TV検査の画質も向上しています。何より放射線技師の技術や読影力などをアピールする場としても、大事にしていくべき検査といえます」。Raffine がもたらす、同検査のますますの発展を期待したい。
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写真はRaffineとともに集合写真(一部)ならびに操作スペー
スの様子(下)。


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放射線技術科スタッフは全部で33名(うち女性が12名)とい
う構成。20代がほとんどで平均年齢も31.4歳と若く、筑波
メディカルセンター病院との兼務体制だ。健診データは病院
のデータと合わせ、センター内のサーバ1台に置かれ、東芝
社製PACSシステムにより、病院と健診センターとの連携が
なされている。「2002年2月分から健診データが入っており、
2015年までは容量を確保しています。氏名と健診センター
のIDで病院データも参照できますし、その逆ももちろん可能」
(竹林氏)。
受診者エリアは半径20kmと広範囲で、つくば市、土浦、牛久、
龍ヶ崎の企業契約が多く、「開業医と連携し、健診センターで
受診された方に、かかりつけ医として健診データをCDに焼いて紹介するケースが増えている」とのことだ。





財団法人 筑波メディカルセンター つくば総合健診センター

 
■財団法人 筑波メディカルセンター 筑波メディカルセンター病院
〒305-8558 茨城県つくば市天久保1-3-1
TEL:029-851-3511(代表)  URL http://www.tmch.or.jp/hosp/
●開院/1985年2月16日 ●病院長/軸屋智昭 ●病床数/409床(一般病床406感染 症3)〈救命救急センター30・茨城県地域がんセンター156・病院一般220・二類感染症3〉 ●診療科/18 ●診療統計(2010年度実績)/外来患者数498人/日、入院患者数 375人/日、平均在院日数12.2、平均病床稼働率85.5%、平均病床利用率91.9%、紹 介率67 .8%、逆紹介率40 .3% 救急車搬送件数5 ,053(うちヘリ搬送68)、ドクター カー出動件数188 ●機能/地域医療支援病院、救命救急センター、災害拠点病院、臨床研修病院、地域がん診療連携拠点病院

■財団法人 筑波メディカルセンター つくば総合健診センター
〒305-0005 茨城県つくば市天久保1-2
TEL:029-856-3500(代表)  URL http://www.tmch.or.jp/kensin/
●開所/1994年4月13日 ●所長/内藤隆志 ●業務内容/総合健診(1日ドック)・宿 泊ドック(1泊2日)・専門ドック(脳ドック、心臓ドック、肺がん検診、レディース検診)・ 企業健診・オプション検査 ●検診受診者/36 ,598人/年、オプション検査受診者/ 46,398人/年(2010年度実績) ●その他/健康増進センターACTを併設

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