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Raffineのある風景 ―医療法人 竹村医院


医療法人


はじめに

近畿地方南部、和歌山県の中南部に位置する田辺市。現在の同市(新制)は2005年5月1日に田辺市(旧制)、龍神村、中辺路町、大塔村、本宮町の新設合併によって発足し、近畿でも最大の面積を誇っている。

今回ご紹介する竹村医院は田辺市(旧制)に位置する。専門の消化器疾患を中心とするさまざまな疾患への対応、および特定健康診査、一般検診、がん検診を幅広く行う一方で在宅医療にも力を注ぐなど、地域医療に多大な貢献をはたす施設である。

同院では今年3月よりX線検査装置の更新に伴い、X線透視検査、CT 検査についてアナログ撮影からデジタル撮影に移行。Raffine も新しい装置ラインナップに加わり、稼動している。


導入の経緯とメリット

竹村英一 理事長
同院のもう一つの大きな柱が在宅医療だ。
「24時間対応で訪問看護、薬剤師、鍼灸師、
ヘルパー、デイサービス、ショートステイなどの
連携を当院が核となり、日中の往診、夜間・深夜・
早朝の緊急対応などを行っています」と語る
竹村英一 理事長。
「当院は医療機関なので、検診施設と違い、もし検診で病気が見つかっても治療まで対応でき、受診者は安心できます。また検診データがあるので、受診者にとっては検診だけでなく、お体の調子が悪いときでも安心して通院できるなど、地域に密着した対応が可能です。企業からの依頼で胃の透視撮影検査、エコー検査や一般撮影などを含めた検診パックを提供する一方で、個人でひととおり調べてほしい方には、当院で用意した検診セットをご提供しています」 と語る同院院長・高原伸明氏。ご自身は内視鏡指導医である。

「当院の特長として、胃検査ではX線透視か内視鏡かの選択制をとり、同額の料金設定で提供するなど、利用者にとって最適の検査を受けていただける体制をとっています。来院して胃や大腸の検査をされる一般の方は、実際には内視鏡検査を希望される場合が多く、X 線透視検査数はそれほど多くありませんが、内視鏡、X線透視にはそれぞれ一長一短があり、そこを見きわめながら適切な検査を施行するようにしています」。当然、X線検査にも精度の高さが求められるが、「そのためにも技師の技術と装置の選択・調整が必須です」

後でも出てくるが、アナログ装置の老朽化により更新を検討していた折に、Raffineが登場。「画像がきれいでシステムのワークフローもスムーズ。当院のような施設ではコストパフォーマンスが重要ですが、Raffine は価格と性能とのバランスがとれていると思いました。検診から診断、治療へのスムーズなプロセスが可能な施設であることからもリピーターの増加につながるとの見通しにより、少々高価でも十分にメリットがある、とRaffine の導入に踏み切ったのです」、高原氏はこのように語る。

高原 伸明 院長
高原 伸明 院長。
「来院患者は現役世代、すなわち企業に勤める
40~50代のメタボ男性が圧倒的。毎年受けて
いただいている方にはコレステロール、脂肪肝
などの肝障害や糖尿病が多く、過去データと
比較してのお話をする場合が多いですね」
導入されたRaffineは、その使用目的の99%が検診である。「デジタル化のメリットの1つに、患者さんとのコミュニケーションツールとしてきわめて優れていることがあります」(高原氏)。同院では患者が希望すれば、画像情報についてはすべて説明するようにしている。「パソコンが一般に普及したことで、みなさん、モニタを見ることに慣れていらっしゃるのですね。臨床画像を白黒反転や拡大しながら説明することで理解が深まり、話がしやすくなりました。1枚の写真以上のデータが得られるのは、デジタル化の大きなメリットです。将来、ますます医師と患者とが画像をいっしょに見ながらお話する時代になる。その点でデジタル化の意義は実に大きいと感じています」

デジタル化のメリットは、これだけではない。「大病院や検診センタでは何人もの関係者がデー タを参照する関係でデータが分散してしまったり、検査時間の融通がきかないなど多々ありがちです が、当院では私1人がすべての受診者情報を把握し、細かい分析ができます。たとえば同じポリープで引っかかった受診者でも、過去データからフィードバックして比較することにより、適切な診断ができる。また画像処理時間の短縮によって、受診者1人にかかる検査時間が短縮され、結果として受診者の都合に柔軟に対応することが可能となり、時間あたりの検査人数も増えています」


データファイリングシステム整備という急務

診察室
 
デジタル化に伴い、装置だけでなくシステム整備でも克服すべき課題が同院にはあった。「農協や教職員共済、市町村共済などの指定はすでに受けていましたが、健保協会の指定が取れていなかった。装置の整備だけでなく、データのバックアップ体制などに対する審査が厳しく、和歌山県下でも公立や検診センターのような大規模施設に指定が限られていたのです」。昨年4月に取得できたのだが、「単に撮影がきっちりできるのは当たり前。さらにその後のデータファイリングシステム管理をしっかり行うためには、それまでのシステムでは対応できなかったので、あらたに血液検査なども含めた検診データの整理管理システムを別に作り、上乗せしました」。そのシステムはすべて自前で構築されたものだ。

「システムを外注した場合の費用がかなりの負担になることは、経験上わかっていましたので。現在、専門プログラマが2人常駐しています」。日常の診療でも、高原氏の隣席に医療秘書資格をもつスタッフを配置し、電子カルテデータと画像データとが両方参照できるなどの配慮がされている。「(このスタッフには)私の診察や検診などの所見を入力してもらい、あわせて検診データの整理などを行えるよう に、専用のコンピュータを2台配置しています。私自身が入力する時間があればよいのですが、診察や画像説明はできるだけ患者と向き合いたいですし、往診や内視鏡検査などで手一杯なので」。このように細部に工夫を凝らして作業効率向上を図ることができるのも 「デジタル化の1つの効能といえますね」


デジタル化で得るもの、そして……

「以前のアナログ機器が12 年経過して老朽化し、フィルム搬送のトラブルや部品不足もあり、買い 替えを3年前から検討していました」、こう語る大西良雄技師は消化管が専門領域。「FPDかI.I.DR かについては非常に悩んできました。3年前であれば、価格面からいってもI.I.DR でなければ無理だったと思います。FPDとI.I.DRの価格がほぼ同じになり、購入後のフルメンテナンス料金が納得のいく価格になったことも追い風になりました。関西1号機という不安はありましたが、パラメータ設定や画像処理技術の情報提供など、東芝社にもかなり努力をしてもらったのです」。同社とは長年の付き合いで「メンテナンス対応も優れており、全システムを東芝社製品にすることのメリットも考え、導入を決定しました」

Raffine導入のメリットとして「第1に作業が簡素化されたことが大きい」と大西氏は強調する。「フィルム時代の 『撮影が終わって、暗室に入ってフィルムを現像して診察室にもっていく』 という流れがなくなり、検査開始からサーバへの画像転送までの一連の作業が操作コンソールの椅子に座ったままで行なえるようになりました。フィルム装てんや現像の時間が必要ないため、スムーズにかつ短時間で検査が進行できます。また以前の 『フィルムを診察室にもって行ってしまうと撮影室側で確認できない』 という点も解消されました」

第2のメリットとして、コントラストやラチチュード、濃度を変化させズームも自由自在に表現を変えられるのはもちろん 「白黒反転が容易にできるのが大きい」 と大西氏は話す。「白バックに黒い線を引くのと、黒バックに白い線を引くのとでは、細かい部分の見えやすさがぜんぜん違いますから」。この他、「朝の起動が2分半と早いのも大きなメリット。FPDは管理が大変と聞いていましたが、特別に空調や 終日通電がいらず助かります。節電の時代にぴったりですね」

デジタル化のメリットを挙げる大西氏だが、貴重な提言もしてくれた。「デジタルになり、必ずしも適正でなくても画がつくられてしまい、その結果としてユーザが努力をしなくなってしまうおそれがある。アナログ時代はワンショットという条件で、いい写真とそうでない写真との差が如実に出てしまうことから、失敗してもその原因を探り、撮影条件をいろいろ工夫するなど、いわゆる職人芸が発揮される場面があった。それがデジタル時代になり、なくなってしまった。そこがわかっているかどうかで、技師の姿勢に大きな違いが出てくる̶̶私はそう考えます」。同氏は続けて「胃は心臓の動きに大きな影響を受けるし、粘膜の状態も違えば、胃壁に付着するバリウムの様子も違ってくる。その差をわかりながら撮影するかが大きな差なのです」

同院では脱気装置を使って気泡を除去している。「高濃度バリウムの粘度を下げサラサラにし、胃壁につきやすくするために行うものです。バリウム剤には装置との相性があり、粒子の大きくて粗いものと小さく密なものとを配合することによって、胃壁の凹凸部分を1~2回転で平らにする。いかに時間を短くするかが勝負ですから」。その結果 「さまざまな患者に対して一律に5~7分と短時間撮影(1人当たり透視録画時間が4~5分)が実現し、午前中の検査数の許容範囲も10~12人に増えました」
大西 良雄 技師
大西 良雄 技師

操作室
操作室

脱気装置
脱気装置を使い、高濃度バリウム剤の気泡を
除去し粘度を下げるなど、「よい画」を撮るため
の工夫が随所にみられる。



Raffineは“フィルムにより近いFPD装置”との印象

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同院では胃の透視撮影検査をはじめ、
エコー検査(上)や一般撮影などを含めた
検診パック、またオプションとしてCT(下)を
使った頭部、肺、腹部の検査も提供している。
「Raffineの素性のよさを感じる」と語る大西氏。「鮮鋭度と粒状性のバランスがよく、フィルムに近い自然な画像が出てくる。フィルムの画質はフィルム自体だけでなく、増感紙や現像時間、現像温度などさまざまな要素が関係してきますが、Raffineでも画像処理を変更することでフィルムと同様に画質をいろいろと加工することができます」

撮影条件に関して、同院では 「小焦点で、管電圧は110 kvと高目に設定しています」(大西氏)。「被ばく線量が少なくてすみ、撮影時間が短くなり画像がぶれない点も高電圧撮影のメリットです。ただ管電圧を上げるとコントラストが下がり、いわゆる 『眠い画』 になってきますが、淡いところの描出が可能になります」。この管電圧特性を「Raffineも同様にもっていると感じました。その点でもフィルムにより近いFPDなのかな、と自分では考えています。フィルムの時代にはフィルム自体だけでなく、増感紙や現像時間、現像温度などさまざまな要素を検討して最良の画像を作ってきました。Raffineでは画像処理を変更することでフィルム以上に画像データをいろいろ加工でき、高電圧撮影でありながらコントラストとラチチュードを両立した画像に仕上げてくれます」

消化管、特に胃の検査では 「装置の性能とバリウム剤とが同じくらい重要であり、かつ撮影時間の速さが写真のよしあしを決定する」 と語る大西氏は、バリウム造影剤についてもRaffine導入を機に再検討を始めており、さらに新製品導入後のユーザからメーカへのフィードバックを重視する。「東芝社には、実際に当院で撮った高電圧条件下データを提供して検討してもらうなど、現場からの声に積極的に応えてくれる姿勢を感じます」
この熱意。ユーザとメーカとの理想的な関係といえるのではないだろうか。

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臨床画像(提供:竹村医院)



医療法人 竹村医院

 
〒646-0022 和歌山県田辺市東山1-3-8
TEL. 0739-26-6700
http://yuuga.blogdehp.ne.jp/
診療科目/・内科・消化器内科・呼吸器内科・人間ドック・往診・訪問看護・訪問介護・デイサービス
稼働装置
・X線TV DREX-RF50/01(Raffine)2011年3月25日より稼働
・ハイエンドカラー(複合)SSA-660 A 2010年12月8日より稼働
・Multislice CT TSX-021 B/4 B 2009年9月25日より稼働


   竹村医院
写真は医院外観(左)と受付の様子(右)