特集!フィルムレス整形への道 ~整形PACSの未来~
はじめに
加速するデジタル化の流れの中で、PACSは導入済みでも、完全なフィルムレス化にまで対応している施設は少ないのが現状ではないだろうか。特に整形外科部門はフィルムレス化が進めにくい領域の1つであり、必要に応じてフィルムを出力するなど、PACSとフィルム運用を併用するケースがまだまだ一般的と思われる。そこで、今後のよりよいモニタ診断環境を構築するために、東京大学医学部附属病院整形外科の3氏にご出席いただき、整形外科部門におけるフィルムレス化の現状と問題点、およびインフォコム株式会社で開発した整形外科向けPACS(以下、製品名 『iRad®-OT』)への期待について伺った。
現在の整形外科部門の運用状況
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司会 現在、東京大学附属病院様でのPACSのご使用状況はいかがでしょうか。 苅田 当院のPACSはかなり高機能なものを備えているので、動画、階調プリセット、特定の測定などは問題ないのですが、人工関節のテンプレートは今のところ含まれていません。 大島 それでフィルムとPACSを併用しています。人工関節置換術の前に、どのテンプレートが適合するかをシミュレーションする場合は、現在もフィルムを出力しています。ただし、人工膝関節置換術に関してはナビゲーションシステムを使っていますから、そちらのシステムで術前のテンプレーティングを代用しています。 廣瀬 ただし、ナビシステムがすべてというわけではないのと、フィルムを用いたテンプレーティングはイメージづくりに重要ですので並行して行っています。 司会 計測に関してはいかがでしょうか。 苅田 ある部位の角度や比率を測るようなことは可能です。 司会 整形外科の特殊な計測についてはいかがですか。 苅田 一般的な計測機能を組み合わせて行っています。 高柳 弊社iRad®-OTには整形外科で一般的なCE角、Sharp角、Cobb角、すべり率などの定型計測機能も搭載されております。 苅田 便利そうですね。角度関係や比率関係の計測と比べて、実際のサイズ(実寸)に関する指標は正規化されていないと評価しづらいし、その精度が高くなければ臨床では使えません。 廣瀬 モニタ上の画像で測った長さは、そのまま信用できませんね。 高柳 モニタ上で仮に等倍で画像表示した場合でも、実際より10%~20%くらい拡大されていることが多いため、厳密に測るには何か指標を入れてキャリブレーションを行う必要があります。 大島 メジャーを入れて、それにアジャストするようにする必要がありますよね。 廣瀬 メジャーを入れると、たとえば1㎝がどれくらいかというのをシステムで割り出してくれるわけですね。 高柳 iRad®-OTでは、たとえば画像上の撮影された鉄球をダブルクリックしていただければ、それを自動的に認識しますので、実際の鉄球の数値(直径)を入力していただくことによりキャリブレーションを実施することができます。 苅田 私どもがフィルムと鉛筆で従来通りに行う術前シミュレーションでの人工関節のサイズと、実際の手術で使用したサイズが一致する確率は大体90%くらいです。手作業でも一応そのくらいの精度はあるのですが、作業の繁雑さの問題はどうしてもありますね。 廣瀬 ちなみにですが、骨頭中心は自動で求められますか? 高柳 現時点ではマニュアル操作になります。骨頭中心や骨軸の自動抽出機能については、骨や軟部組織などが重なり合っているため、画像の判定がなかなかむずかしいのが現状です。 |
従来法の手作業によるテンプレーティング iRad®-OTによるテンプレーティング(サンプル) 左から苅田氏、大島氏 左から廣瀬氏、高柳氏、葉月氏(司会) |
整形PACS iRad®-OTに期待すること
苅田 iRad®-OTを知った経緯ですが、手術計画や手術評価をする際、PACSから特殊なソフトウェアに画像を落とす必要があるので、DICOM通信関連のソフトを探していました。たまたまインフォコムさんの扱うソフトに行き当たって、その後iRad®-OTを紹介していただいたわけです。整形外科の計測指標が比較的整っているようなので、今後に期待しています。廣瀬 計測で一番問題になるのが、計測者によって同じ部位を測っても値が違うことだと思います。データの再現性が高くて使い勝手がいいシステムができればよいのですが。
高柳 計測に関しては、専用の計測ツールにより計測者による計測結果の違いを抑えることができるのではないかと考えています。またテンプレートに関しては、これまで海外製のソフトウェアを日本で使用する場合、日本国内にて使用されているテンプレートデータが含まれないなどの問題点もあったと伺っています。計測ツールにしてもテンプレートデータにしても、日本の整形外科の先生方が一般的に使用するものをいかに取り込んでいくかが今後の課題と考えています。
苅田 テンプレーティングなどの手術計画は3次元化が望ましいと思います。ただ、現在はCTの多層スライスデータを元にしたものが多いのですが、もっと少ない被ばく線量で3次元画像が構築できるようになるのが理想かと思います。また、術後の状態予測と評価が誰でも早く簡単にできることが必要でしょう。それらが実現されることで安全で正確な手術ができますから、今後はそういった方向に進んでいくのではないでしょうか。
大島 基本的に今は発想が2次元ですよね。フィルムにしても画面にしても。人工関節など実際には3次元のものを入れるので、3次元構成された画像に3次元のテンプレートを入れて、どこが当たるかが知りたいわけです。
脊椎にネジを入れる場合も、狭い部分が実際にどのくらいの角度があって、どれくらい左右に振る範囲があるかが知りたいので、そのシミュレーションが実現できるといいですね。
司会 先生方、本日は貴重なご意見ありがとうございました。
問い合わせ先
インフォコム株式会社ヘルスケア事業本部 放射線システム部 製品営業グループ
TEL : 03-6866-3790
FAX : 03-6866-3960
URL : http://healthcare.infocom.co.jp/
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