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本誌を2 倍楽しむ! トレセン最前線!<第5回>


本誌を2 倍楽しむ! トレセン最前線!<第5回>
本誌映像情報メディカルで連載の 「明日のための医療~トレーニングセンター最前線~」 では、医療の研修を目的とした各施設の取り組みを紹介しています。Web版では、インタビューや本誌では掲載しきれなかった未公開写真を紹介します。

※ 施設紹介記事は、8月1日発行の 「映像情報メディカル 2009年8月号」 でご覧いただけます!


eラーニングの立ち上げには、どんなご苦労がありましたか?

現在のeラーニングの形になるまでに、さまざまな取り組みをしてきました。
まず、院内に電子カルテが入った際、足りない機能がかなりあったので、CGIの技術を使えば電子カルテをサポートする機能が作れるのではないかと思い、CGIの勉強をし、電子カルテにMacをつなぎ、ホームページを立ち上げてみたのです。

それから、他の病院で電子カルテサーバとソケット通信でオーダー情報を受け取っていると聞きつけたので、当院でも行ってみようと思い、ソケット通信の勉強をするため、学生時代にかじったC言語をあらためて勉強しなおしたりしました。

また、データベースとの相性を考えるとやはりPHPがいいだろう思い、PHPを一から勉強し、PHPを使ったホームページをいくつか作ったりしました。これら試行錯誤を重ねているときに現在のムードルに出逢ったのです。
阿部 和也 氏


今回の、“府中病院eラーニングポータル(FELP)” の立ち上げは、メディアサイトとムードルがあったればこそ、ここまでこられたというのが実感です。ただ、ムードル導入はちょっとやっかいな方法で行うことになりました。パッケージで入れれば簡単に立ち上がるのですが、あえてパッケージ導入をしませんでした。パッケージでは別にウェブサーバが入るようになっており、ムードルの管理はパッケージに入っているウェブサーバ側で行う仕組みだからです。

ムードルのサーバーを組み込んでしまうと、OS側でアップデートがあった際に、ムードルのサーバはアップデートされないのです。OSはアップデートされたのに、ムードルを動かしてるサーバのソフトウェアがアップデートされないというのはやはり困るので、ムードルのみをサーバの中に組み込むというかたちを選択しました。

そうすると、いろいろ足りないソフトウェアがでてきて、どうやって対処するのか調べるのに結構時間がかかりました。最後にはパッケージ導入するしかないかな? とまで思いましたが、インターネット上をこまめに探していると、パッケージ導入ではない方法がいくつか見つかりました。その中で一番納得いくものを選び導入に至りました。


ムードルはどのようなソフトですか?

「Using Moodle」
Using Moodle
メディアサイトだけ購入して、収録したものをムードルに入れるとなるとノウハウが必要になりますが、パッケージ導入すれば、比較的容易に導入できます。ただ、メディアサイト側にもサーバを立ち上げて1つの完結したシステムとして、収録したものをそのサーバに入れるという形でシステムを組んでいれば、連携は割りと楽に行えます。

もともとムードルはオープンソースですので、恩恵を受けた私どもとしましては、導入の際に得た知識を還元したいと思っており、電子カルテと結びつけたムードルの使い方を本にして出版を検討しています。

また、ムードルの一番基礎的な入門書に 「ユージングムードル」 という本があります。しかし、日本語版がありません。私としては、院内でコンテンツを作る人間が増えないと本当のeラーニングにはなっていかないと思っています。皆にコンテンツを作ってもらいたいと思うと同時に、底辺を広げたいとの思いから、個人でこの 「ユージングムードル」 の翻訳を始めています。

この訳本も出版を考えており、出版について版元に問い合わせたのですが、採算がとれないとの理由で断られてしまいました。ですので、これらの情報は、私どもにムードルの導入を提案してくれた(株)Gee Solutionsの村上さんの協力を得て、ホームページで公開するかもしれません。

大手企業さんに頼むと1コンテンツ数百万円かかるeラーニングですが、私どもが、わずかな投資でeラーニングを実現できたのはこのソフトウェアによるところが大きいのです。


自宅でe-ラーニングができるようになりますか?

eラーニング画面
eラーニング画面
これをするにあたっての1番の問題は、サーバのメンテナンスと著作権ですね。東京都の職員が作ったものを著作権なしで公開することができるのかどうかがはっきりわからないとこがあります。逆に院内というクローズドの場所で使うのであれば、著作権に対してあいまいな取り扱いがあっても許容範囲であろうと思いますが、外に出してしまうと、必ずしもそうとはいえません。

eラーニングをもっと利用しやすくする改善点の1つとしてメール機能の付与があると思います。インターネットにつながっていると、フォーラムに投稿があった際にメールが送られるという便利な機能です。

しかしFELPは電子カルテがベースですので、当然メールシステムなど入っていません。ですから、フォーラムで議論が行われ新しい投稿があった際に、それを知る手段が今のところないのです。 「これでは議論が活発に行えない」 というクレームがときどきあるため、今は、事務方が時々チェックしては手作業で “新しい投稿がありました” というメールを送っています。

当然、インターネットに接続して使えればいいのですが、一般企業ではなくお役所ということもあり、インターネット配信をするには、セキュリティや著作権関係のことなど、クリアしなければならない課題がまだまだあります。でも、将来的にはインターネットにつないで活用できればいいなとは思っていますが、今現在ではまだなんともいえません。


マニュアルのコンテンツは誰が作るのですか?

たとえば、電子カルテの操作であれば私が作ります。感染制御ですと、感染管理担当看護長の山佐が作りますし、医療安全ですと専任リスクマネージャーの羽賀が行っています。やはり私ども3人が1番やっていますね。マニュアルや研修の必要性を1番感じている3人だからだと思います。

ほかに、わりと活発に動いているのがレジデント研修を担当しているグループです。彼らが研修を録画していますが、研修のマニュアル作りにという段階にはまだ至っていません。

ムードルはもともとインターネット上で使うことを前提としているシステムですので、インターネット上で使うのには便利ですが、電子カルテのようなシステムと一緒に使おうと思うといくつか問題が発生します。

たとえば、ログインです。ログインは電子カルテから行います。電子カルテで認証を済ませているのにもかかわらず、さらに、ムードルシステムに入ったときに再度認証を求められてしまうのです。電子カルテからの認証情報を引継がないのです。なので、ムードルの中に認証用のプラグイン機能を追加しなければなりません。

ただ、プラグインの書き方の資料がないのです。英語であればインターネット上のどこかにあるかもしれませんが、まだ探せていません。電子カルテと接続しているという使用例はないはずですので、そのものずばりの答えというものはむずかしいと思いますが、似たようなソリューションがあれば、どこからか引っ張ってこれるかと思うので、それらを参考に、今後プラグインを作ろうと思っています。

ただ、作ったものが電子カルテと連携して問題なく動くかどうかを検証するには、もう1つムードルのサーバを立てる必要があります。現在、その準備をしようかなという段階です。


実際に使われた方々の反応はいかがですか?

eラーニング受講風景
eラーニング受講風景
まだちゃんとした調査はできていません。ユーザが使い方になれていないということもありますし、こちら側も教え方になれていないためです。ムードルは、比較的容易にカスタマイズができてしまうのです。そのため、ユーザ1人1人の画面が異なり、こちら側がユーザの現状を把握するが難しく、どのように教えたらいいのか試行錯誤している最中なのです。

私の見ている画面は管理画面ですので、ユーザの画面とは違います。したがって確認にはもう1つ新しいユーザを作って画面を見てみないとわからないのです。一般ユーザ画面を私自身が見られないのは、やっかいな点です。

当院では電子カルテの中にeラーニングシステムを組み込んでいます。そして、当然電子カルテのなかには、偽のユーザというものは存在しません。ですので、ムードル独自のユーザで入るようなシステムのバックドアをわざわざ作り、ユーザ画面にアクセスして、一般の方がアクセスした際の画面をキャプチャして、終わったらまたバックドアから入りなおして、また、自分を管理者に戻すといった煩雑な作業をしなくてはならないのです。

このように、技術的な面ではまだまだ改良の余地はありますが、ただ、集合研修に出なくても、eラーニングでの受講で研修が認められるということになれば、好意的な反応が今後どっと出てくると思います。

1時間の集合研修でも、出てしまえばしかたがないので我慢してそこに座っています。ところが、モニタの前で1時間座っているというのはとても耐えられるものではありません。ですので、これからは、eラーニングを見せるうえで、いかに解りやすく、ユーザを飽きさせないコンテンツの見せ方をするかという視点が必要だと思っています。

たとえば15分単位で区切って、そこに小テストを挟むといったこともその1つです。ただ座って居眠りして判を押して帰るという通常の研修より、数分単位で区切り、小テストもできるeラーニングの方がはるかに勉強になると思います。これらのことが今年度しっかりできれば、ユーザにもよくなったと実感してもらえると思います。




施設紹介記事は 「映像情報メディカル 2009年8月号」 で掲載!