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本誌を2 倍楽しむ! トレセン最前線! <第3回>


本誌を2 倍楽しむ! トレセン最前線!<第3回>
本誌映像情報メディカルで連載の 「明日のための医療~トレーニングセンター最前線~」 では、医療の研修を目的とした各施設の取り組みを紹介しています。Web版では、インタビューや本誌では掲載しきれなかった未公開写真をどっさりと紹介します。

※ 施設紹介記事は、6月1日発行の 「映像情報メディカル 2009年6月号」 でご覧いただけます!
※ 同誌では、代表取締役 鈴木 一之氏のスペシャルインタビューも同時掲載いたします!



広がりをみせるトレーニング


――トレーニングセンター設立の経緯を教えてください。

稲葉 : 治療計画システムをより安全かつ有効に使っていただくために、弊社独自のトレーニングプログラムの提供を目的として、2003年に大阪に設立しました。当時は最大7名のキャパシティだったのですが、開始当初からかなりのご好評をいただいて、東京に移転してより広いスペースを確保しました。このたびのオフィス移転に伴い、トレーニングセンターも新事務所と同様に移転しました。


――トレーニングコースにはどのようなものがあるんですか。

切山 : 弊社の治療計画システム 「XiO(エクシオ)」 の基礎的な取り扱い方法を学ぶ 「BasicⅠ」 「BasicⅡ」 の2コース、IMRTの操作方法を放射線治療全体のフローから学ぶ 「IMRTコース」、ビームモデリングを習得するための 「SFMコース」 の4つがあります。
詳しいコース内容はこちら


――ホームページを拝見すると、これまでの受講者は約1,000名ということですが、おもにどのような方が受講されるのですか。

稲葉 : 中心になっているのは放射線科医と診療放射線技師の方々です。受講者の比率は半々くらいでしょうか。医師のおもな業務は治療計画を立てることです。どの部分に、どの位の放射線を照射すると、考えている治療効果がリスク少なく実現できるかという部分ですね。一方、その治療計画を治療機に正確にセットアップするのが診療放射線技師の役割です。そのため、役割は違ってもお互いが治療計画を正しく理解する必要があるんです。


――物理士の方がこのトレーニングに参加されることもあるんですか。
稲葉氏

切山氏

稲葉 : 線量計画で引用する基礎データの登録方法を学ぶ 「SFMコース」 というコースがありますが、物理士の方はこちらのコースを受講していただくことが多いです。


――トレーニング受講者の反応はどうですか。

稲葉 : 終了後にアンケートを実施しているんですが、「院内でのトレーニングよりもじっくり集中して時間が取れた」 「ほかの施設の先生方と情報をシェアする貴重な機会が得られた」 という声が多く寄せられています。トレーニングを始めた当初は 「少し金額が高いかな…」 という意見もあったんですが、費用に関する声は減ってきています。ニーズとして定着してきたのかなと思っています。最低限のクオリティを維持するために必要な費用として、違和感なく受け入れていただいているのではないでしょうか。


――このトレーニングセンターの運営はカスタマーサポートの一環ということですが、サポートという点で治療計画システムメーカの立場から心がけていることはありますか。

稲葉 : 「治療行為がどれだけ安全に行われるか」 という点を強く意識してサポート体制の整備を行っています。その1つの例として、切山が責任者を務める “物理部” というチームの設立です。このチームのメンバーの多くは博士や修士などの肩書きをもち、ビームモデリングをはじめとするさまざまな物理サービスを提供しています。


――ビームモデリングというはどのような作業ですか?

切山 : 治療計画システムを施設ごとにカスタマイズすることです。導入する治療計画システムに施設で使用する治療機の機械的な特徴や、照射される放射線の質など、実際の線量計画時に引用する基礎的なデータを登録し、登録したあとはモデル化という作業を行います。この一連の作業をモデリングといいます。現在はこのモデリングが物理部のおもな業務になっています。米国では施設の物理士がこの作業を担当することが多いのですが、日本はまだスタッフ不足ということもあって弊社がお手伝いをしています。
このモデリングという作業は、手順さえ覚えてしまえば物理の専門家でなくても行うことができますが、その工程で計算アルゴリズムなど非常に物理に特化した問題が出てきます。そういった専門知識をふまえた作業を行うことで、お客様に安心を提供できていると思います。また、多数のモデリングを行っているので治療機ごとのデータのトレンドも把握できています。それらの情報提供によっても、お客様から信頼をいただいているのではないかと思います。


――施設ごとの状況に合わせてセットアップするということですね。事前にモデリングを行ったあとは、実際に施設での設定も行うのですか。

切山 : そうですね。物理部は郵送やメールでいただいた情報をもとに社内でモデリングを行いますが、実際に施設を訪問してセットアップをするのはフィールドの担当者です。所定のプランを作成して、実際に何本か照射を行います。そして、こちらで作成したビームが間違いなく照射されているかの確認作業を行っています。

稲葉 : ここが基本ですね。どの程度の誤差の中で考えているプランが実現するか、ということを装置のレベルで実証することです。「この治療計画システムを使用して放射線治療を実施すれば間違いない」 とお客様自身に判断していただき、安心して使っていただく、そこをサポートするのが物理部の最も重要な役割です。
画像診断でもMRIなどは、パラメータ次第では白く出るものが黒く出たりして、そういう特性を知っていないとできない部分があります。今はユーザ自身が理論的バックグラウンドをもって実施することが多くなっていると思うんですが、その状況に近いのではないでしょうか。

切山 : 「SFMコース」 ではこのビームモデリングを学んでいただきます。受講者は増えてきていて、トレーニング開始当初は1年に1回の開催でも集まるかどうかでしたが、最近は年に4回開催しても多数の参加者が集まります。今まではモデリングされたシステムの使用に注力されていたのが、各施設でも自分たちが行っている放射線治療の安全性や効果に対し、より高い次元で責任をもたれるようになってきているんだと思います。


――切山さんはトレーニングの講師もされていますが、むずかしさを感じるのはどのような点ですか。

切山 : 「こういうケースで、こういう治療はどうだろう?」 などの臨床的な質問を受けることがありますが、われわれは治療のスペシャリストではないので、そこが1番むずかしいところですね。日本にはまだいませんが、米国本社には臨床経験のあるスタッフがいます。彼らに意見を求めて、彼らからの情報をお客様に提供するんですが、それだとその場で答えることができません。そこが辛いところです。しかし、社内的な臨床知識の蓄積は非常に重要視しているので、米国から臨床経験者を講師として招いて社内トレーニングを実施しています。この研修は技術スタッフを交えて昨年からすでに4回実施しています。

稲葉 : 開始当初と今とでは、トレーニングの質もターゲットも変わってきています。最初は使い方のトレーニングを主体としていましたが、切山が入社してからは物理的なバックグラウンドをふまえた取り扱い説明が可能になりました。技師会やユーザ会などから講演の依頼もよく入りますし、そうしたニーズを見ていると、皆さんが物理的な知識を欲しているのがよくわかります。彼女が入社してからそういったものもトレーニングの中に盛り込めるようになったので、従来のトレーニングと比べて大きく前進することができたと思っています。次のステップとして、切山がお話ししたクリニカルな部分のサポートができればと考えています。当社の立場的な制約もありますが、このあたりをどれだけ信頼される情報として提供できるかというところにフォーカスして、社内研修などを実施しています。

五十嵐 : 切山の入社によってトレーニングのテキストやパンフレットのほとんどが新しくなりました。また、米国での臨床経験をもとに、ユーザの視点を積極的に社内に持ち込み、実現のための努力をしてくれています。


放射線治療業界への貢献


五十嵐氏
――御社は独自のトレーニング以外にも、さまざまな団体の教育プログラムに積極的に支援していらっしゃるとうかがいましたが、どのような活動をなさっているんですか。

稲葉 : 治療計画システムの貸し出しや、研修会場としてのトレーニングセンターの提供を行っています。これまでのセミナーでは、実機を使った議論や検証ができるプログラムが少なかったようなので。


――具体的にはどのような団体と協力しているのですか。

稲葉 : IMRTのような複雑な照射技術を、効率よく、しかも安全に行うためには、
かなりのノウハウが必要になります。そのため、ただ単に操作手順を説明するだけではなく、それを実際の放射線治療の流れのなかにはめ込むために、全体のフローを理解してもらえるような内容のセミナーを、社外施設の治療機を利用する形でスタートしました。最大のメリットは、治療計画システムを使って作成した治療計画を、実際の治療機を使って検証できることです。IMRTの場合はかなりむずかしい検証手段が必要なので、実機を使いながら先生方の臨床経験とわれわれのトレーニングプログラムを合わせて提供できるようにしました。開始から1年が経ち軌道に乗ったところで、もっと一般に入っていきやすいように施設主導のトレーニングとする方向で話が進んでいます。
治療計画システムメーカとしての立場だけだと、提供できるトレーニングはどうしても限定的になってしまいます。われわれとしては、システムでサポートできる部分を明確に伝えながら、臨床の先生方がご自分の専門分野に注力していただけるように支援ができればと考えています。

五十嵐 : そのほかにも、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)主催の 「医学生・研修医のための放射線治療セミナー」 への治療計画システムの提供や、NPO法人放射線治療支援センターが開催している 「実践的臨床トレーニングコース」 へのトレーニングセンターの提供なども行っています。

切山 : システムや会場のほかにも、講師の依頼をいただくことがあります。物理部のメンバーは講師役を担うこともできますので、講演に行くことも、ここで講義をすることも多いです。


――企業としてそういう取り組みをされるのはすばらしいですね。固定のトレーニングルームと動くトレーニングルームの両方を提供されているということですね。

切山 : 講師として各地をもっと訪問できればと考えています。時間的な制約があったり、なかなかむずかしいことろでもあるのですが。

稲葉 : トレーニングを受講したくても参加できないという人も大勢いらっしゃいます。E-ラーニングなどもありますが、治療計画システムの場合は “Face to Face” でないと伝わりきらない部分もあるので、将来的にはそこをどのように解決してくかという課題も残されていると思います。


今後の取り組みについて


稲葉氏・切山氏
――放射線治療をとりまく環境もどんどん変わってきていると思いますが、トレーニング受講者にも変化を感じることはありますか。

稲葉 : リピーターとして来られる方が最近は増えてきました。以前は、1つのコースを受講したあとは、ご自身で工夫されることが多かったんです。しかし、治療計画のソフトウェアが日進月歩ですので、毎年新しい技術が盛り込まれている状況です。そこへのキャッチアップが必要だと考える方や、もしくはもう少し突っ込んで勉強したいという方などが、違うコースを選んで再受講されています。


――今後の取り組みなどを教えてください。

切山 : 弊社には多くのレンジのお客様がいらっしゃるので、お客様によってさまざまなニーズがあります。学会のトピックになるような最先端の話題を欲している方もいらっしゃれば、もっと基礎的な情報を求めている方もいらっしゃいます。それらのなかには既存の4コースだけではお教えしきれないところもあるので、そういうところをもっとピックアップできればと考えています。今後は基礎的な使用方法だけではなくて、もう少し応用をきかせた使い方ができるようなトレーニングを実施したいと思います。物理部では来年度をめざして新しいコースの作成に取り組んでいます。


――ニーズに合わせて新しいコースを設置されるんですか。

切山 : 稲葉もいっていましたが、リピーターが増えているので、既存のコースでは物足りなくなってきているというのもあると思います。もっと違うコースが欲しいというご要望はやはり多いですし、求めるコース像をうかがっても 「こういうコースが欲しい」 とかなり具体的な要望が上がってきます。そのすべてが実現できるわけではないですが、可能な限り実現していきたいと考えています。

稲葉 : われわれのマーケットポジションからみても、ユーザの声を聞きやすい立場にいることは間違いないと思います。その声に耳をかたむけ、実現させていくというのは、われわれのもう1つの使命だと思っています。現在は治療計画のところだけですが、その周りにはまだたくさんの仕事がありますので、そういうところにもお役に立てるものを作っていきたいと考えています。


――これからも御社の活動に注目させていただきます。本日はありがとうございました。


新トレーニングセンターを特別リポート!


新社屋・外観 新社屋・外観

新社屋 「芝浦ルネサイトタワー」 の外観。
新事務所はエレクタ株式会社と同フロア(7階)にあり、治療計画システムから治療機、治療情報システム(OIS)までをトータルで提供する体制が整っている。

新事務所・受付 新事務所・受付

新事務所の受付。トレーニングセンターはこの奥に。
カーペット、フロアランプ、アームチェア、壁にかかった絵画などのインテリアが落ち着いた雰囲気を演出している。

サロン サロン

トレーニングルームに隣接したサロン。
プログラムの合間はこちらでゆったりと過ごすことができる。インテリアは受付と同様に、モダンながら落ち着いた雰囲気で統一されている。

トレーニングルーム トレーニングルーム

新トレーニングルーム。治療計画システム 「XiO(エクシオ)」 は11台配備。
前方の壁は全体がホワイトボードになっており、高いデザイン性と使いやすさを兼ね備えている。

「XiO」 トップ画面 「XiO」 の画面紹介①

CMSの放射線治療計画システム 「XiO」 のトップ画面。

「XiO」 線量分布画面 「XiO」 の画面紹介②

CMSの放射線治療計画システム 「XiO」 の治療計画中の画面。


問い合わせ先

シー・エム・エス・ジャパン株式会社
〒108-0023
東京都港区芝浦3-9-1 芝浦ルネサイトタワー
TEL : 03-6722-3860
FAX : 03-6436-4232
URL : http://www.cms-japan.com/




施設紹介記事は 「映像情報メディカル 2009年6月号」 で掲載!