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ZEXIRAのある風景 ―医療法人財団慈生会 野村病院/野村病院 予防医学センター(東京都三鷹市)


野村病院 予防医学センター



1952年、武蔵野の面影を強く残す地に創立された野村病院。「病気だけを診る専門家ではなく、患者さんを診る専門家を目指す」 ことを診療理念とした 「総合診療」 の実現に向けて、幅広い分野にわたって診療活動を展開する施設である。先進医療機器の導入にも積極的で、同院には2012年5月より東芝製FPD搭載X線TVシステムZEXIRAを3台導入し、消化管検査をはじめ多目的に活用している。機器選定の経緯と使用経験、さらに併設する予防医学センターや健診の今後の発展などについて伺った。



企業の健康管理指導にも力を注いできた歴史

予防医学センター外観
予防医学センター外観。ZEXIRAを3台導入し、
マーゲン健診を中心に活用している。
「総合診療」 とは従来の診療枠を超え、包括性と継続性を大切にした診療の形態である。具体的には予防医療、救急医療、内科・外科・整形外科医療、リハビリテーション医療、緩和ケア医療が核となって協力することで疾病予防から早期発見・早期治療・リハビリ・療養支援および緩和ケアに至るまで途切れることのない対応を提供する。

この 「総合診療」 の理念をベースにし、野村病院に併設されている施設が予防医学センターである。所長/予防医療部門長である瀬谷彰氏は、同センターを 「“健康は最大の財産”をモットーとして、病気の早期発見のみならず予防から健康維持に至るまでの“健康づくり”を総合的に支援するための施設」 と説明する。

同院における予防医学の歴史は長く、1960年に院内で人間ドックを開始したことに遡る。以来、人間ドックを含めてさまざまな目的の健康診断・検診を実施するとともに、企業などの健康管理指導にも力を注いできた。「地域の医療をリードすると同時に職域、企業の健保組合員、働いている人たちの健康を支えるという意味合いが大きいです」 と同氏。現在、受診者の年齢層は40~50代が中心だが、現役時代に受診していた方が高齢になっても引き続き受診したい、というニーズも徐々に増えてきているという。


最大にして不変のテーマ「質の高い検査の追究」

瀬谷 彰 氏
予防医学センター所長/予防医療部門長
瀬谷 彰 氏
健康診断・検診を取り巻く環境は近年、大きく変化しつつあるが、「どのような状況においても変わらない最重要課題は質の維持・向上」 と瀬谷氏は強調する。「特に人間ドックの中核、がん検診では画像診断が不可欠であり、最重要と位置づけています」。画像診断には撮影と読影があるが、「撮影では質向上のため、画像診断にかかわる検査設備面での大幅な充実を図っており、主に消化管検査に使用されるX線TV装置をI.I.からFPD搭載タイプに変更したことも、その流れの1つです」 と同氏。

ハードウェアの充実とともに、ソフトウェアに関しても同氏は 「検査にかかわる医師や技師の技量および専門資格の取得状況もきわめて高いレベルです」 と自負する。人間ドック健診のメニューが終了する3時間の範囲内で、検査と結果がすべて揃う同センターは、胃の検査の専門資格を有する技師が撮影し、専門医が読影するシステムが確立されている。このスピード感について瀬谷氏は、 「進化した画像診断装置による解像度の高い画像のおかげで、放射線科医が読影しやすくなっていることも一因」 と確信する。

※同院では2名の胃がん検診専門技師がおり、放射線技師も各専門分野で自己研鑽し、患者が安心安全に検査・治療が受けられるように各種認定資格を取得している。


高齢者を考慮した新しい検査の可能性を探る

野村病院
 
「最も中核となるがんと生活習慣病をしっかり見つけ、治療や指導、予防に結びつけることが当センターの基本」 と話す瀬谷氏は、「それにプラスして高齢者に向けた検査の確立が必要」 とも語る。その一方でがん検診未受診者は特に若い人に多いと、同氏は指摘する。「こうした方たちの受診率を上げ、潜在的なニーズを掘り起こすことで、進行がんを少なくすることが大切と捉えています」 と話す。「総合診療」 の診療理念の下、予防医療に注力し、さらなる新しい歴史を刻み続けていく。


診断能力を飛躍的に向上させた消化管検査

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画像診断部門長
仲村明恒 氏
続いて、ZEXIRA導入の経緯や使用経験などについて同院画像診断部門長の仲村明恒氏に話を伺った。同氏は杏林大学医学部附属病院放射線科との兼職である。消化器の診断だけでなく、撮影も実際にご自身で行っており、I.I.装置からの買い替えでは当初よりFPD搭載装置を推した。

「FPDを使用して、それまでのI.I.とは比較にならない高画質と広視野、歪みのなさを実感しています。さらに撮影画像だけでなく透視画像の画質向上により、検査中に病変を発見でき、精密検査でもどこをどう撮ればよいかがリアルタイムで判断できますし、デジタルですからPACS にも対応する。FPDの出現によって診断能力、検査から診断に至る過程が、従来に比べて飛躍的に向上していることを体感しています」 と仲村氏。

FPDの長所について、同氏はさらに収載していたデータを示す。「従来のI.I. 装置とFPD 装置とを比較検討し、早期胃がん161病変に関して精密検査における描出能の視覚評価を行いました。5段階評価で4以上なら基本的に非常によく描出できているという高評価、また3以下は低評価としました」 と同氏。結果はFPDの場合は4以上が100%であるのに対し、従来のI.I.装置は、4以上が75%と、25%がうまく描出できなかったという。FPDでは100%病変を綺麗に描出できた、と有意差が出た結果、『FPD装置しかない』 という機運が高まったと、振り返る。同院にはI.I.装置が3台あったのだが、「一部だけをFPD装置に更新すると、どうしても画質に差ができてしまいます。受診者から同じ金額の料金を頂戴して検査を行うのに、検査の質に差が出てくるのは支障があるということで、一気に3台を更新してもらいました」 と、3台導入の経緯を語った。


現場の声を聞いてくれる企業の姿勢を評価

機種選定に際しては、FPD自体の高性能や装置のコンパクトさはもちろん、健診をはじめ、病院・病棟の治療や処置が必要な患者にも対応したさまざまな検査に活用可能な汎用性の高さも大きな判断材料であった。それにもまして仲村氏自身の抱く、東芝社のサービスのよさ。カスタマーの意見をよく聞いてくれる企業であることが大きかったと語る。いわばメーカ本位な対応ではなく、東芝社はユーザ本位で 「臨床的にこれが大事だから、こういう使い方やアプローチの装置を作ってほしい」 とこちらが要望したことにしっかり応えてくれると、信頼度も高い。「臨床現場の声を誠実に聞いてくれることは非常に大切です」 と強調する。


クリアな透視画像がもたらす「透視画像中心の検査」への期待

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PDの長所について、収載していたデータを手に
説明する仲村氏。
ZEXIRA導入後の印象について仲村氏は 「まず、デジタル装置の特性である検査中にリアルタイムで撮影画像を確認でき、その画像を拡大して確認することも可能な点、また計測や検査後の画像処理、濃度調整が簡単になって作業が迅速化し診断能率は格段に向上、操作性のよさからスタッフのストレスが軽減される点も見逃せません。さらに被ばく低減もかなり実現されてきており、今後もいっそう期待したいです」と、導入メリットを強調する。

さらに、FPDによる消化管検査で大きな可能性を抱かせてくれるのが、きわめてクリアになった透視画像がもたらす 「透視画像中心の検査」 への期待である。この点について同氏は次のように話す。「FPDの場合、検査してできあがった画像だけでなく、検査中のリアルタイムの透視画像も素晴らしいです。実はこの点が大きくて、昔から夢として語られていた透視検査でのリアルタイム診断がかなり実現化の方向に向かっています。その場ですぐに診断、決着がつくように画像が撮れることで、検診、精密検査はまったく違う様相となります」。

いまや 『動画の世の中』 と強調する仲村氏。「透視画像が内視鏡検査に近づくというか、そのまま リアルタイムで臨床診断に使われる時代がすぐそこまで近づいてきているのかもしれません」 と、期待感を抱く。
消化管検査の将来の可能性について同氏は、「私が行っている研究ではないのですが、見つけた所 見の良悪性、あるいは拾い上げの部分に対する診断支援(Computer Aided Diagnosis)に注目しています」 と語り、画質の向上により見えてきたこれからの画像の使い道を示唆した。

いま胃バリウム検査を行う技師の数は多いが、読影して診断する医師の数が少ない、と同氏は現状を危惧する。「よい画像を撮ってくれても、それをきちんと読める人がいなければ本末転倒です。読影する人の育成は重要課題ですが、読影診断学は 『一日にしてならず』 なので、診断支援システムのようなものがスクリーニング段階だけでも補助になってくれれば助かるのではないか」 と同氏。胃のバリウム検査ではなかなか聞くことのない診断支援機能の実現については、「バリウムや胃液の状況とか、いろいろな要因がからんでくるので、なかなか難しいと思います」 と、楽観視はしていない。しかしそれでも 「チャレンジするだけの価値は十分にあると思っています」 と、大いなる熱意を示す。


X線診断の精度管理を高め維持する活動

NPO法人日本消化器がん検診精度管理評価機構理事という要職にもある仲村氏。同機構について、「そもそも検診はきちんと精度管理し、自分たちがやってきたことが正しいかどうかを検証しながら行わなければ精度も上がりませんし、また上げた精度を維持することもできません。消化管の診断学の歴史はかなり古いのですが、今まではそういう部分に関心が集まらない傾向があり、各施設の技量に任されていた部分があったのです」 と述べ、「撮影技術や読影能力といった、自分たちの教室で形成された学識はいまや、みんなで情報を共有する時代になりました。

わが国の消化管X線診断を支えてこられた東京都がん検診センターの細井董三先生や医療法人社団進興会の馬場保昌先生、慶應義塾大学病院予防医療センターの杉野吉則先生など、重鎮の先生方が中心となり日本消化器がん検診学会とコラボレーションしながら日本の消化器がん検診のレベルアップ、底上げと維持を担う目的でつくられたのが同機構です。統一基準となる撮影法を確立することで精度を一定にすることを目指してガイドラインを作成し、これを普及するための撮影技術や読影の講習会を開催しています」 と、取り組みについて語った。


技師目線に立った使い勝手
見た目がクリアで撮影時に見やすい画像

清水賢均 氏
放射線科 清水賢均 氏
ZEXIRA の導入経緯や使用経験などについて、同院放射線科の清水賢均氏に技師の立場からお話を伺った。

導入されたZEXIRAの3システムの1台は東芝社I.I.アナログ装置、残り2台は他社I.I.アナログ装置からの更新である。「I.I.アナログ装置、フィルムの時代は、昔の写真と同じで作業途中での確認がとれず、現像してみないとわかりませんでしたし、そこに不安もありました。加えて運搬や保管などの人手の確保も必要でした」 と、清水氏は当時を振り返る。「デジタルになり、そういった問題はすべて解消されました。撮ってすぐにモニタで見られて良し悪しがわかるようになりました。診断においても非常にタイムリーで、異常があればその場ですぐに技師から医師に指摘できて効率的です。I.I.装置では気になっていた歪みもFPDでは一掃され、何よりも画像が高精細で、見た目がはっきりと違います。それまで見づらかったものがはっきりと見えるようになりました。透視画像で十分に観察できるレベルです」。

清水氏によると、当初スタッフの中では、どのメーカもだいたい同じという認識があったというが、「いろいろな施設に見学に行き、メーカそれぞれに特徴があることを理解しました。東芝社製装置の画像は基本的に見た目がクリアで見やすく、われわれには大きなインパクトがありました」 と、印象を語る。「もちろん、さまざまな検査への活用ができる点も考慮しての選定です」 と、清水氏。


透視画像の積極的な利用を可能にした先端機能

ZEXIRAの遠隔操作卓にて
ZEXIRAの遠隔操作卓にて。
清水氏は透視の視認性の向上を高く評価。
予防医学センターにおける検査数の8~9割を占めるのが胃バリウム検査である。ZEXIRAを配置している検査室A、B、Cの3室すべてで同検査は行われており、1日で70~80件、年間で約2万件を数える。「X線による胃がん検診はエビデンスが確立しているので、検査数は非常に多い」 と語る清水氏。同氏によれば、モニタを凝視しなくて済むことで撮影者の疲労度、特に目の疲れが軽減し、検査精度の質が向上したという。

装置ベースは3台とも同じだが、うちもっとも広い検査室Cの1台は、注腸検査(B室サブ)のほかに病院・病棟を視野に入れて血管造影検査や整形整復、さらにイレウス管挿入や胃瘻造設、膿瘍穿刺などの多目的検査や治療、処置を実施している。「A、B室は検査だけなので近接操作卓上1モニタのみです。広いC室は治療も行うため、近接操作卓上1モニタに加えて天吊りモニタ2台を設置することで、術者の目線の高さに合わせてモニタを構えることが可能となりました」 と、検査室ごとの使い分
放射線科のみなさん
ZEXIRAとともに放射線科のみなさん。
けを行っている。

同センターでは検診には連続透視、多目的検査にはパルス透視で対応している。「検診は年1回の勝負であり、検査の質向上に最高の画質を第一として追求するのがセンターの基本姿勢」 とする清水氏だが、透視線量モードの設定により、以前と比較して画質は向上しながらも被ばく低減は確実に実現されていると語る。ZEXIRAの透視線量モードは、検査に応じて透視線量のレベルを選択できる。同センターでは通常の検査で低い線量レベルのモードにより検査を行っているが、たとえばバリウムが胃から十二指腸に流れにくい受診者の経過観察を見る検査では、さらに低い線量モードに設定している。また入院患者など、くり返しの多目的検査を伴うケースではパルス透視を使うといった具合に被ばく低減に配慮している。このような検査内容や検査室レイアウトに応じたシステムアレンジ、そして検査に応じた被ばく低減が可能な点については、清水氏も 「ZEXIRA という装置がもつ大きなメリット」 と賛辞を寄せる。

ZEXIRAがもつ機能の中でも同氏が高く評価するのが、透視の視認性が向上し、透視画像の積極的な利用が可能になったことと指摘する。東芝独自の機能SNRF(Super Noise Reduction Filter)や透視DCF(Digital Compensation Filter)などのPureBrainについて、「撮影の代わりに透視画像の収集を行うことで撮影回数を減らし、効果的な線量低減を実現しています。当センターの整形整復では、撮影せずに最初の透視の画像から1枚収集してPACSに転送しており、大きな有用性を感じています。今後、小児検査を行う場面になったとしても透視だけで十分でしょう」 と語る。

ZEXIRAが検査にもたらす今後の可能性については、この 「透視画像」 の積極的な利用を清水氏は強調する。「当センターでは透視画像をすべて取り込み、保存するところまですでにできているので、これを診断で活用できないかと考えています」。撮影はタイミングが重要視される一方で、『過程』 が見えてこないきらいがある。撮る方は 『ある』 と思って撮影しても、見る方は 『ない』 ということで不一致となるケースは多く見受けられるという。そんなとき、双方の間に “つなぎ” として透視画像を挿入できればと期待を寄せており、このように清水氏は将来に向けた検査のあり方をイメージしている。「選別し、怪しいものがあったら透視画像を確認して議論する。そういうことができるようになれば、検査精度はいっそう向上するのではないでしょうか。透視は、診断において 『最も濃縮された場所』 だと思いますから」。清水氏の、この言葉に代表されるスタッフの熱意と創意工夫こそが、画像診断の質を確実にステップアップさせていくのだろう。

野村病院のZEXIRA導入は、その先進医療機器の可能性に医師・技師の向上意欲が掻き立てられ、ひいては患者・受診者にとって精度の高い検査・治療の提供に向けた “患者さんを診る専門家を目指す” という同院の診療理念にまた一歩近づくものである。


医療法人財団慈生会
野村病院

 
〒181-8503
東京都三鷹市下連雀8-3-6
TEL. 0422-47-4848
http://www.nomura.or.jp/

・ 診療科目:内科、外科、整形外科、形成外科、リハビリテーシ ョン科、放射線診断科、脳神経外科、神経内科、漢方内科、緩 和ケア内科、内視鏡内科、臨床検査科、腫瘍内科、糖尿病内 科、循環器内科、呼吸器内科、血液内科、総合診療外来、救急 外来、睡眠時無呼吸外来
・ 病床数:133床

医療法人財団慈生会 野村病院 予防医学センター
・ 健康診断コース:日帰り人間ドック、脳ドック、一泊人間ドッ ク、一泊フルコース人間ドック、オリジナル生活習慣病健診、 その他 健康診断(法令定期、簡易健診)、各種オプション検 査、団体向け健診

   野村病院