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ZEXIRAのある風景 ―山口県済生会山口総合病院(山口県山口市)


山口県済生会山口総合病院



1951年に済生会山口病院として設立され、今年で62年目を迎える同院。急性期病院としての特色を伸ばすとともに、救急医療にも力を入れるなど、地域とともに発展してきた施設である。先進医療機器の導入にも積極的であり、2012年11月より東芝製デジタルX線TVシステムZEXIRAを導入し、現在はおもに泌尿器、整形領域で活用している。同領域ならではの特性にもとづいた機器選定の決め手、ならびに使用経験などについて紹介する。



高いレベルにある地域医療連携の中心

同院は1980年に二次救急輪番病院、2007年に病院機能評価認定病院、2009年にDPC対象病院、 2011 年には地域医療支援病院の認可を受けた。地域連携のレベルを示す、医療機関からの同院へ の紹介率は約71%、同院から医療機関への逆紹介率は92%(2012年3月時点)という高さである。

“山口地域が1つの病院”という地域完結型医療を推進するなかで、「急性期病院に特化しているのが当院の大きな特徴」と話すのは、同院副院長・城甲啓治氏。同院と診療所や中小病院、さらに治療後回復のためのリハビリテーションや療養の機能をもつ病院との間では、緊密な情報連携が行われている。「各医療機関の役割分担のもと、その時その時で最も適した医療を提供することが重要です。すべての病気に対して連携のネットワークを作り、すべての医療・福祉関係者が参加すれば、“地域が1つの病院“として機能を発揮できるのです」。

この“役割分担”は医療機器に関しても同様で、「特に高度な画像診断機器の充実には力を入れて います。地域の開業医や後方病院から当院に紹介いただき、検査・所見をお送りする連携ができて います。さらに開業医は、当院の画像診断機器で自由に検査することも可能です(共同利用)」。ち なみに2012年度におけるMRI とCTそれぞれの年間総利用件数/共同利用件数はそれぞれ6 ,111 /1 ,842と13 ,580/806(同院「検査機器等利用状況」より)。同院では今後、地域の医療機関との連 携をいっそう強く進めていく考えである。


医療の質向上のために人材育成に注力

同院は山口医療圏内だけでなく県北部の萩市、長門市、阿武郡や美祢市美東、さらに島根県西部の津和野や益田市の医療機関とも連携して救急患者を受け入れるなど、広域での二次救急病院の役割を担っている。病院内にドクターカーが常駐し、心肺停止などの重症が予想される場合には医師が同乗して現場で医療を行う。この背景には、地域の抱える事情もある。「山口地区は山陽地区と山陰地区とに分かれており、山陰地区は医師不足で、十分な医療提供が困難。二次、三次救急になると山陽地区の医療機関に行かなければならないケースが多々あり、特に脳外科領域の医師不足が問題となっています」 と、城甲氏。

このような事態を打開するためにも、「医療の質の向上は最重要課題」 と同院は捉えている。「病院は結局、人ですから。医療の質の向上のためには、人材育成はきわめて重要な要素です」 と城甲氏は強調する。その一例が、「より上のレベルをめざす」とするプロフェッショナル育成プロジェクトの推進だ。「医師不足を鑑み、放射線やICU、心臓、脳といった各部門の専任看護師、医師の代わりに医療行為をある程度できる看護師の育成に力を入れています」。新人研修からクリニカルラダーシステムへと切れ目ない現任教育を通し、キャリアアップを図る人材に全面的バックアップを行う。


創設時の心を保ち「強み」を生かした診療を

城甲啓治 氏
副院長
城甲啓治 氏
済生会は1911(明治44)年2月11日、明治天皇の「済生勅語」によって創設された。その初代会長が、山口出身の桂太郎総理大臣(当時)である。「当時の日本は日清・日露戦争が終わり、戦争で傷ついたり家の大黒柱を失ったり、失業した人など数多くが貧困にあえいでいました。明治天皇は生活困窮者に対して医療面を中心とした支援を行う団体の創設を提唱されたのです」、このように済生会の成り立ちを紹介するのは同院総務課長・山縣哲郎氏。

済生会の精神は、現代でも脈々と生き続けている。経済的な理由で十分な医療が受けられない方に対して、医療費の一部または全額を免除して医療を行っているのだ。「無料低額診療事業は、低所得者で診療費の支払いが困難な方などに対して無料または低額の費用で適切な医療を受けていただけるよう支援しています。対象者は病気や障害などで収入がない方、DV被害の方など幅広く対象としています。同事業は行政にも協力をいただいています」と、山縣氏。

この精神に裏打ちされた診療内容について、城甲氏は 「際立った特徴をもつ施設であるべき」 と語り、その強みを 「循環器領域の内外科、胸部と消化器領域のがん、整形外科」 と指摘する。「くり返しになりますが、当院のキーワードはまず急性期病院であること。そして救
山縣哲郎
総務課長
山縣哲郎 氏
急医療にも対応でき、先進医療機器の導入や人材育成にも注力し続ける施設でありたい、と考えています」。

同院の理念である、地域社会のための質の高い医療を提供し続けるために、スタッフの奮闘は今後も続いていく。


選定を決定づけた泌尿器検査への高い適応力

泌尿器検査
泌尿器検査の効率を上げた支脚器
のほか、排水機構を設置して検査を
行っている。
ZEXIRA導入の経緯と使用経験について、引き続き泌尿器科医である城甲氏、そして同院泌尿器科部長・大場一生氏に医師の立場から伺った。大場氏によると、アナログ泌尿器専用寝台装置(I.I.)からデジタル装置への更新にあたり、機種選定に際しては他に3社の候補があった。それらがすでに導入されている施設にも見学に行き、最終的にZEXIRAの導入を決めた。

ZEXIRA選定の決め手として、最新画像処理コンセプトPureBrainによる高画質や、17×17インチというFPDの広視野サイズはもちろん重要だったが、「泌尿器検査の独自性に的確に対応する装置であることは大きかった」 と大場氏は話す。「骨盤の部分を透視するために、術者が天板の端に座り、患者さんが膝受け台(支脚器)に足を載せる。これが泌尿器独特の検査です」。寝台の端の方で検査する関係上、観察可能な領域も端にあることが求められる。「その点、ZEXIRA は天板端の透視・撮影距離を十分端に寄せて行うことができます。加えて支脚器を他の検査同様足側(寝台正面から見て右側)に設置できることは、撮影室のレイアウトの都合にも合い、衛生面でもメリットは大きかったです」。またベルフレックス製支脚器の寝台設置に東芝社がスピーディに対応した点も、「選定のポイントになりました」 と、大場氏。

支脚器取り付けの経緯について、城甲氏が補足する。「泌尿器科では検査だけでなく、外来でX線と内視鏡とをコラボさせて行う処置、内視鏡を膀胱に入れ、尿管からカテーテルを入れたり拡張したりする 治療が頻繁にあり、手間もそれだけかかります」。患者は検査室という環境でプライバシーも十分に保たれずに不安になる。そんな患者の気持ちに配慮したX線TV装置は 「かつてはなか
大場一生 氏
泌尿器科部長
大場一生 氏
った」 と城甲氏は話す。「高齢者が増え、股関節や膝の手術をされた方、寝たきりに近い方には拘縮が多く、足がうまく固定できない。以前は看護師たちが患者さんの足を手で持って支えていました」。膝受け台などの器具を使用しても「治療に必要な体位をとることだけが重要視され、患者さんの方から装置や器具に身体を合わせなければならず、患者さんの苦痛や羞恥心に気配りするレベルではなかった」。

それが、ZEXIRAを導入することにより改善した。ZEXIRAの洗練された寝台デザインがつくり出す検査室の優しい雰囲気や、ほんの少し表面に丸みをもたせて患者の身体がフィットする天板は、泌尿器検査という一般の方にとって抵抗を感じてしまう独特な検査を前にした患者さんに、安心感を与える。また足全体をホールドするタイプの支脚器は、手術の際に非常に役に立った経験からZEXIRAの寝台への設置を東芝社に要望した。「おかげで快適に検査できています。画像診断装置の進歩は画質向上だけではなく、人間工学的な安全・快適のメリットももたらすのだと気づかされる機会にもなりました」。


泌尿器検査効率向上をもたらす
“こだわり設計”

ZEXIRAは、検査環境の改善をもたらしている。「寝台デザインによる検査室の雰囲気向上はもちろんですが、装置そのものがコンパクトになり、部屋が広く使えるようになりました。泌尿器科の検査や処置時は、医師が道具を持って検査室内を移動しますし、看護師が寝台周りを自由に移動できることも大事です。ZEXIRAにより、そういった動線がしっかり確保でき、検査効率が上がったことで時間短縮のメリットも生まれています」と、城甲氏。

コンパクトな寝台により広くなった検査スペースの他にも、患者と検査者の両方に安全性と快適性をもたらすための配慮は、ZEXIRAの随所に見られる。大場氏は 「検査スペースが広くなったこと、そして寝台が低い位置まで下がることにより、当院のような狭い検査室でもストレッチャーを室内に入れられるようになり、ストレッチャーから寝台への患者さんの移動も実にスムーズです」 と話す。

また東芝社独自の仕様である表面に丸みのあるラウンドシェイプ天板も、「レールがないため横幅が広く、患者さんはゆったりと横たわれる」 と高く評価されている。「泌尿器検査では造影剤や灌流液が漏れてしまうことが頻繁に起こりますから、溝がなくて掃除しやすい天板は衛生面でのメリットが高い」 と、城甲氏は表面をカーボンでラッピングされたラウンドシェイプ天板により使い勝手が飛躍的に向上した点を挙げた。


低被ばくと高画質維持をバランスよく両立

ZEXIRA選定基準のひとつである画像に関しては、「17×17インチというFPDサイズは泌尿器において大きなメリット」 と大場氏とともに装置選定の任にあたった同院放射線部副技師長・橿村紳也氏は言う。「DIPにおいて、腎臓・尿管・膀胱がしっかりと入る領域が完全にカバーできています。以前は同検査をCRで行っていました。(CRとの機構の違いから) 得られる画像の拡大率が異なるため、過去の検査の画像との比較は心配でしたが、医師からは問題ないといわれています」。

またZEXIRAには被ばく低減のためのさまざまな工夫が凝らされているが、大場氏は 「低線量でも遜色のない画像が撮れる」 と強調する。「泌尿器の場合、整形やアンギオの検査に比べると被ばく量は少ないのですが、それでも少ないに越したことはありません。ZEXIRAは透視確認の際に3段階の透視線量モードを選択できますが、線量レベルを下げても十分綺麗な画像が見えます。カテーテル挿入時などでも低線量モードで行っています」。城甲氏も、FPDと画像処理装置の進歩したZEXIRAにより、被ばくがかなり軽減されるようになったと指摘する。
zexira_臨床画像
 
A) 左逆行性腎盂造影(RP):左下部尿管の屈曲を認め、同部で通過障害を認める。
B) 上部尿管・中部尿管には狭窄病変を認めない。
C) 尿管ステント留置後のKUB:左尿管に尿管ステントを留置した。


遠隔操作卓
高い操作性を誇るZEXIRAの遠隔操作卓。
橿村氏も、ZEXIRAの被ばく低減機能に高評価を与えている。前述の透視線量モードについては 「位置決めするための透視は低線量モードで十分であり、低被ばくと高画質維持とがバランスよく両立されていると感じます。また線量レベルを変えるために一度透視を切る作業がなく、治療中に観察を継続したままワンタッチで切り替えられるのでストレスを感じません」。

またパルス透視に関しては、低レートのパルス透視を検査に合わせて被ばく低減できるもうひとつの機能として、「当院ではガイドワイヤを通す場合は15fps、カテーテルの場合は7.5fpsのように、検査中に切り替えて使用しています。ZEXIRAは、透視線量モードや低レートパルス透視の機能を、検査の状況によって容易に選択と設定ができますので、非常に使い勝手が良いですね」 と評価した。


泌尿器科からみた使用して実感する
ZEXIRAがもつ機能の可能性

同院におけるZEXIRAを使った泌尿器科のおもな検査や処置には排泄性尿路造影(DIP)、膀胱造影、逆行性排尿時膀胱尿道造影(VCUG)、逆行性腎盂造影(RP)、そして治療では尿管ステン ト挿入、さらに腎瘻造設がある。城甲氏は、「腎瘻造設など、以前の装置は寝台が高く処置等がしにくかったのですが、ZEXIRAはその高さを術者にあわせることができ、処置が大変楽になりました」。

大場氏は同院における現在のZEXIRAの使い方をふまえ、たとえば手術場でRP検査を行うなど、泌尿器科の立場から、そのさまざまな機能を 「手術場の台に組み入れられないか」 と考えるという。城甲氏も 「今はせっかく放射線部にそれぞれの検査に優れたモダリティがあっても、比較的小さな手術などでそれらを共有できるような運用までは確立できていません。運用において手術場とZEXIRAとの“合体”が実現すれば、泌尿器科としては非常にやりやすいでしょう」 と、泌尿器科におけるZEXIRAの機能の可能性と、さらなる有効活用の道を、環境も含めて探る姿勢を見せている。


決め手は整形領域でも活躍する汎用性

橿村紳也 氏
放射線部副技師長
橿村紳也 氏
城甲氏は、「当院では、泌尿器のさまざまな検査に加えて整形の検査も多く行っていますが、ZEXIRAの汎用性はとても高いと思います」 とも話す。また、技師の立場からZEXIRAの使用経験について、「医師の操作性と同様、われわれも何かが起こった際にすぐ対応できるように、スペースはできるだけ広くとっておきたい。その点、ZEXIRAはコンパクトで、配置のしやすさの点で最も優れていました。そしてもちろん画像の優秀性、さらに整形領域で長尺撮影ができる装置であることが、選定の基準でした」 と、橿村氏。

同院で泌尿器とともにZEXIRAが多く使われる整形領域では腰椎、椎間関節ブロック、神経根 造影、肩関節造影、ミエログラフィ(脊髄腔造影)、下肢長尺といった検査が行われている。下肢長尺検査は、今まで長いカセッテのCRによる一般撮影が主流だったが、手間がかかるという欠点があった。そこでクローズアップされているのがX線TV装置による撮影である。

同院放射線部技師・有富智美氏はZEXIRAの長尺撮影機能を用い、CRからX線TV装置のFPDによる運用にすることで生じる撮影方法、拡大率や撮影距離の変化が臨床読影にどのような影響を与えるかについて、ファントムを撮影した実験を行い、「ZEXIRAの方が画像の歪みの影響が小さく、実形態に近い画像が得られることを確認しました。大腿骨部分の画像もCRに比べて歪みが小さく、X線TV装置で長尺撮影ができることのメリットは大きいと思います」 と語る。整形外科医からも、「特に股関節や骨盤の部分の歪みのない画像に関して好
有富智美 氏
放射線部技師
有富智美 氏
評をいただいている」 とのことだ。


いろいろな検査をしてみたいと思わせる装置

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ZEXIRAとともに、副院長・城甲氏、泌尿器科部長・大場氏
と放射線部技師スタッフのみなさん。
「現在行っている検査のほかに、ZEXIRAで行ってみたいものはたくさんあります」 と語る橿村氏。「立位や座位の頸椎などはまず問題ないと思います。問題は現在のCR運用との兼ね合いと、X線TV装置では透視下での位置決めもできてしまうので、撮影を行う技師によっては透視分の被ばくを増やしてしまう可能性があること。しかしZEXIRAには照射野ランプの機能があり、X線を照射せずに照射野を確認することができます。透視をしたとしてもZEXIRAであれば低線量モードを活用することで低い線量での検査を行うことができますし、十分一般撮影に使えると考えています」。

同氏は続けて 「一般撮影系も今後はCRからFPDに全面的に移行していくでしょう。そうなれば、これまでは透視下の検査や処置を主な 用途としてきたX線TV装置であるZEXIRAを一般撮影で使ってもいいと思うのです。画質や使い勝手を考えて、十分に一般撮影に使えるだけの汎用性はあると思います。当院において、泌尿器科や整形領域の検査や治療での使用経験と臨床的価値は十分に確立されていますので、それ以外のどのような用途に有用なのか探っていきたいですね」 と、展望を語る。

ZEXIRAの画像の良さ、汎用性の高さ、使い勝手の良さは、同院で稼働している他社製品と較べても 「断然優位な点」 と強調する橿村氏。整形領域の検査ももともとは他社製品で行っていたが、ZEXIRAの画像の良さを目にした整形外科医からの強い要望により、ZEXIRAで行うようになったという。「ZEXIRAはいろいろな撮影、臨床研究をやってみたいと思わせてくれる装置。東芝社とキャッチボールをしながら、ひとつひとつレベルアップしていきたい」。ベンダとの理想的な関係を構築している同院スタッフにより、ZEXIRAを活用した検査のバリエーションは、今後さらに広がっていくのだろう。


社会福祉法人 恩賜財団済生会
山口県済生会山口総合病院

 
〒753-0078
山口県山口市緑町2-11
TEL. 083-901-6111
http://www.yamaguchi-saiseikai.jp/outline/hospital/

・診療科目: 内科、神経内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、 アレルギー科、リウマチ科、小児科、外科、整形外 科、脳神経外科、心臓血管外科、皮膚科、泌尿器 科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーシ ョン科、放射線科、麻酔科
・一般病床:310床


   山口総合病院