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ZEXIRAのある風景 ―公立森町病院(静岡県周智郡森町)


公立森町病院



静岡県唯一の町立病院として中東遠地域北部に位置する公立森町病院。人口およそ2万人の森町は、地縁社会が残る土地柄もあり、同院と町民との交流も盛んに行われている。高齢者も多い森町において、在宅医療にも力を入れている同院。2012年1月に東芝製のデジタルX線TVシステムZEXIRAを1台導入し、被ばくを考慮した多目的検査に活用している。近くもう1台の導入も予定している同院を紹介する。



静岡県内唯一の町立病院

森町家庭医療クリニック
同院に隣接する森町家庭医療クリニック。地域医療のハブ機
能を果たすべく家庭医による往診が実施されている。
静岡県の中東遠地域には公立病院以外に病床をもつ病院が少なく、公立森町病院を含めた同地域 にある6つの公立病院が中核病院として存在している。公立森町病院院長の中村昌樹氏は、「高齢 者が多く、山間地域が多いこの土地で生活する人たちの安心安全を守るために、救急の受け皿や急 性期の入院治療をはじめ、その後の継続的な医療提供など、さまざまな活動をしています」 と生活圏での医療を提供する病院としての位置づけを語る。同院は町立病院として50年以上運営を続けており、「町がそれだけ当院に期待してくれている」 と同院事務局長の一木進氏も地域との結びつきの強さを強調する。

同院では、2009年11月に38床の回復期リハビリテーション病棟を開設した。利用者は主に高齢者で、症状が安定した患者のリハビリテーションを集中的に行う施設である。とくに股関節頸部骨折や脳梗塞による脳血管疾患の患者が多いという。「回復期というのは急性期の治療から生活の場に戻るための医療といえます。急性期は生命優先、身体機能優先の医療を行いますので、ある意味では目的のために画一的な医療になりがちですが、回復期は各人の価値観に合わせた医療提供が必要です」 と中村院長は語る。


在宅医療への取り組み

中村昌樹 氏
院長 中村昌樹 氏
町のおよそ70%を占める広大な山間部を有する同地域は、高齢者世帯にとって医療施設への通院が困難なことも多い。同院では1992年より在宅医療に取り組んでおり、「在宅患者が心配なのは緊急のときにちゃんと受け入れてくれる病院があるのかということです。つまり、在宅医療を進めるためのしっかりとした救急医療体制を整えることも重要でした」 と中村院長。「在宅医療は患者様の生活の場をベースに医療を行いますので、たとえ急性の病態で入院したとしても、その人の日頃の生活がわかっていると、病状が落ち着いて在宅医療に戻るときもスムーズです。入院といった療養型の医療体制は増やさない時代の流れの中で高齢化は進んでおり、在宅医療は絶対に必要です」。患者の日常生活を把握する医療機関が急性期医療への橋渡しを担うことで、治療方針などにも的確な方向性が生まれるというわけだ。

2012年度は在宅医療連携拠点事業の採択を受けて、厚生労働省からの補助金も受けられるようになった。「多職種連携会議という会を年に3回ほど開催し、医療者側と介護者側の双方からいろい ろな形で意見交換して連携をとるような形を進めています」 と一木事務局長。中村院長は、「ここで 必要とされるのが家庭医の存在です」 と話す。「家庭医が患者様の代弁者として、急性期の入院時に、その主治医に的確な情報を伝えることができます。そして、入院後にはまた家庭医が受け入れてくれるという体制が整えられます」。専門医に対し
一木 進 氏
事務局長 一木 進 氏
て総合医として機能するのが家庭医であるという。

こうした家庭医を機能させる施設として、森町家庭医療クリニックが同院には隣接している。「家 庭医療クリニックがある程度往診を行う形で、2012年度の11月から家庭医療を進めています」 と一木事務局長。家庭医が外来、入院、在宅という医療の場を選択肢としてきちんと提示できる仕組みを作ることで、患者にとっても納得の医療が受けられるようになり、地域医療においてハブ機能を果たす同院の役割が期待されている。


地域住民との交流

同院には、住民が有志で結成した 「友の会」 がある。「病院と町民との間に立って、町民の声を病院に伝え、病院の考えを友の会を介して町民に伝えるという形で、2ヵ月に1回、各公民館で話し合いの場を設けています」 と一木事務局長。病院側が外へ出ていき積極的な意見交換を行っている。こうした交流でもっとも話題に上がるのは、やはり在宅医療だという。

森町の高齢化率は、静岡県の平均の10年先をいっていると一木事務局長。同院の在宅医療に対する取り組みをモデルにして、静岡県全体も高齢化に対応していくとみられる。


選定ポイントは高画質・低被ばく・広い視野

大場浩次氏
消化器外科部長 大場浩次 氏
同院画像診断科科長の鈴木雅彦氏にZEXIRAを導入した経緯について伺った。「まずフラットパネルディテクタ(FPD)が17×17インチという大きなサイズであること、そして運用面においていろいろな機能をユーザが簡単に使えることが選定のポイントでした。また、とくに、被ばくをいかに減らすかにもこだわりました。ZEXIRAは、被ばくを減らすことを考えて検査を行おうとする術者のための機能が、非常に優れていると思います。そのひとつがパルス透視を有効に使えることです。もちろん、透視像、撮影像が安定して良い画像で得られることも、装置を選ぶ上で重要でしたね」 と語る。

同院では、通常の検査を7.5fpsのパルス透視で行っている。同院消化器外科部長の大場浩次氏は 「検査において、本当に鮮明な画像が必要なときというのは限られていますから、ほとんどのケースではパルス透視7.5 fpsで十分です。また、ERCPで内視鏡を通して位置を決めるときなどは、線量レベル(後述の透視線量モード)を下げます。ZEXIRA は線量レベルを下げても十分見えますし、パルス透視7.5fpsにおいても詳細に観察することができるのでいいですね」と話す。

ZEXIRAについて診療放射線技師の皆さんにも話を伺った。同院画像診断科主任の山裾誠氏は、高画質・低被ばく・広い視野の3点が選定基準のポイントだったと語る。ZEXIRA は、
鈴木雅彦 氏
画像診断科科長 鈴木雅彦 氏
最新画像処理コンセプトPureBrainによる美しく鮮やかな画像技術を備え、低レートパルス透視による被ばく低減、そして、17×17インチのFPDによる広い視野で、同院の要望に応えている。

「カテーテルなどを使う場合でも、低い線量レベルの透視線量モードで、なおかつ7.5fpsの低レートパルス透視像で十分視認することができ、非常に満足しています」 と山裾氏。また最適な透視画質をサポートする画像処理技術SNRF(SuperNoise Reduction Filter)について、とくに低レートのパルス透視で効果が発揮されると同氏は指摘する。「ある学会で他施設の方がSNRFは低レートパルス透視にとくに有用であると報告していました。私たちも実際に検査で使用し、その効果を実感しています」と話す。

「ZEXIRA を導入してからパルス透視7.5 fpsで通常の検査を行うようになりました。実際に線量を測定して比較したところ、導入前より2~5割くらいの線量で検査を行えているということを確認しています。これだけ線量を抑えることができ、なおかつ広い視野で高精細な画質が得られているということは、より良い状態で検査ができているといえます」。低線量でも高画質を実現するZEXIRAに、満足度は高い。

山裾 誠 氏
画像診断科主任 山裾 誠 氏


ZEXIRAがもたらす医療現場の変革

ZEXIRAはさまざまな検査で活用されている。大場氏は、「主に消化管で使用しています。胆道系では胆道造影、膵管造影といったERCPですね。検査だけでなく、結石排石やステント留置などの処置にも活用しています。消化管では、腸閉塞のイレウス管挿入、術後の消化管透視などの処置に使うことも多いです。以前は胃や大腸などの消化管についての診断が多かったのですが、最近ではむしろ治療で使われることが多いと思います」 と、診断だけでなく治療にも積極的に活用しているという。「透視しながらイレウス管を入れ終わった後、全体を見るために、以前は一般撮影の部屋に移動して腹部単純撮影を行っていましたが、ZEXIRAは17×17インチの広い視野があるので、検査の流れで寝台の上にて腹部単純撮影を行い、検査を一部屋で完結できるようになりました」 と、作業効率の向上についても語る。

また、高画質によりもたらされたメリットを大場氏に伺うと、「ERCP で、とくにカニュレーションが難しいときですね。少しずつ造影剤を加えて場所を探りながら進めていくのですが、ZEXIRAは画像を拡大しても細かいところまで鮮明に見えます。内視鏡操作時の細かい作業において観察しやすいため、とても助かります」 と、17×17インチの広い視野という特長だけでなく、拡大表示して観察しても鮮明な画像であることについても言及した。

また大場氏は 「透視中に線量レベルを調節できるので、必ずしも鮮明な画像が必要でないときには簡単に線量を落とすことができて、余計な被ばく線量を抑えられるところはいいですね」 と、ZEXIRA が検査にもたらした変化についても語った。ZEXIRA は、操作卓上のすぐ手が届くところに透視線量モードを選択するスイッチがあり、透視の線量レベルを3段階に切り替えることができる。鈴木科長も 「鮮明な画像を求められるときには、ワンタッチで線量レベルを通常の状態に戻せますから、低被ばく検査の運用として取り入れやすかったですね。しかも透視を出したまま切り替えられます。線量レベルを変えるために一度透視を切るという作業がなく、治療中に観察を継続したままワンタッチで切り替えられますので、術者もストレスを感じません」と技師の立場からも太鼓判を押す。

「腸閉塞のイレウス管挿入は、どうしても透視時間が長くなりますが、挿入時はそれほど鮮明な画像は必要ありません。そういう時には線量レベルを落として使っていますので、長時間の検査でもトータルの被ばくは抑えられている。このような運用を使い勝手よく導入できることは非常に良いと思います」 と大場氏。被ばくを考慮して透視を行うという新しい取り組みに医療現場の変革が感じられる。


仕事に専念できる仕様

谷澤美穂 氏
画像診断科診療放射線技師
谷澤美穂 氏
ZEXIRA の寝台について、大場氏は寝台の昇降動の可動域が大きい点を 「天板が高い位置にあるほうが処置しやすいことも多いですから」 と評価する。また 「嚥下造影も視野が広く、全体像が見えるのでとても助かります」 と鈴木科長。同院では、嚥下造影検査をはじめ、撮影を行わず透視だけで完了する検査も多い。ZEXIRAは、立位で、車椅子などでの嚥下造影検査にも対応できる低さに映像系が下がる。寝台や映像系の可動域の広さについては、技師の皆さんも便利だと評価が高い。

またX線管と絞りのカバーが小ぶりで、透視を見ながら処置をする際にも邪魔にならないと好印象だ。寝台サイズについてクラス最小のコンパクト性を誇るZEXIRAは、場所をとらない奥行とスリムな筐体により、検査室に広いワークスペースと安全な導線を確保できる。たとえば、ベッドから寝台へ患者を移動するときには、「天板のどの位置からでも患者様にアプローチしやすいので、非常に助かっています。女性スタッフだけで患者様を移動させる場合には大人数での対応が必要ですが、5、6 名のスタッフが余裕をもって天板を取り囲むことができます」 と同院画像診断科診療放射線技師の谷澤美穂氏。また寝台自体が占有するスペースが少ないため、内視鏡や近接操作卓、モニタ台車などを設置しても検査室のレイアウトにゆとりが保てているという。

清潔へのこだわりも細部にわたる。鈴木科長は 「天板表面に継ぎ目がないというのは安心
堀内千歩 氏
画像診断科診療放射線技師
堀内千歩 氏
できますね。検査の内容によっては水を使う場合があり、継ぎ目に水が入り込むようなことがないという安心感は大きなメリットだと思います」 とユーザの安心感がスムーズな作業につながると話す。さらに 「ZEXIRAは患者様にとっても、われわれスタッフにとっても安全でいられるように配慮がなされていると感じます。たとえば、斜入機構部のジャバラカバーや天板下の奥まったところに配置されたレールなどは、白衣などを挟み込む危険がありませんし、安心して装置のそばで作業を進められます」 と、余計なことに気を遣わず仕事に専念できると大好評だ。

患者にもZEXIRAの特長を認知してもらおうと、受付ロビーに装置を紹介するパネルも掲げているが、最近はパネルに足を止める患者を多く目にするという。「なかなか患者様から直接われわれに言葉をかけていただくことはありませんが、パネルの前で足を止めてご覧になっているのを見ると、関心は高いのだろうなと思いますね」 と鈴木科長。山裾氏も多くの住民の方々に、同院でZEXIRAという患者にやさしい優れた装置を導入しているということを認知してもらいたいと語る。


2台目のZEXIRA導入も計画

画像診断科診療放射線技師
ZEXIRAを囲んで画像診断科診療放射線技師の皆さん。
同院では、ZEXIRAをもう1台導入する予定だ。鈴木科長は2台目の導入決定について振り返る。「ZEXIRAには自分たちが使用している装置という安心感がありました。画像処理の設定は導入時の状態で問題なくスムーズに運用を開始できました。ZEXIRA なら大丈夫ということを十分に認識しています。他の装置と比較して不安がまったくないことは、選定の中で大きな要素になりましたね」 と1台目を導入して1年あまり、ZEXIRAへの満足度と期待感の高さが伺える。また1台目のZEXIRA導入について、「私たちの漠然とした思いを東芝さんに一緒になって形にしてもらったなと感じています。非常に感謝しています」 とメーカのサポート体制も高く評価している。

2台目の運用方法については、「1台目とは設置する部屋の広さやレイアウトも異なると思いますが、2台ともZEXIRAになるわけですから、どちらの部屋でも同じように良い画質の透視、撮影ができ、ストレスなく検査を受け入れることができます。また、どのような検査にも対応できますので、この検査はこの部屋でしかできないということはなくなり、患者さんを待たせることなくスムーズに検査を行うことができると思います」 と幅広い領域で活用できるZEXIRAが2台導入されることで、作業効率をはじめ、患者ひとりひとりの時間を大切にするフレキシブルな対応への期待感は強い。
鈴木科長はZEXIRAの多様性について、いろいろと試してみようと思いたくなる装置だと語り、今後もさらなる有効活用の道を探っている。


今後の展望

同院では医用画像データのネットワーク化に続き、来年度には電子カルテ共有システムの導入も計画している。「当院にはいない脳外科の先生に画像を診てもらうというようなケースが現場では必要とされます。とくに救急部門では画像の共有化は非常に有効です」 と中村院長。今後、在宅医療の一層の充実化を図る上でも、「出先から直接情報入力するのはセキュリティ面でもリスクを伴いますので、出先ではメモ程度の入力ができ、それをあとで安全にカルテに反映させるプロセスが必要だと思います」と話し、シンプルかつ安全な医療情報の出入力機能の進化に期待している。

顔の見える診療が理想という中村院長。在宅医療の進化には、車による移動式の出張診療所を実現したいと展望も語る。採算性だけではない医療の役割を公立病院として担うという使命感を 「正義を貫く」 という言葉で語り、家庭医の役割も世の中にもっと認知されてほしいと地域医療のあるべき姿を追い求めている。


公立森町病院

 
〒437-0214
静岡県周智郡森町草ヶ谷391-1
TEL. 0538-85-2181
http://hospital.town.morimachi.shizuoka.jp/

・診療科目: 内科、外科、整形外科、小児科、歯科口腔外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、皮膚科、専門外来
・病床数:計131床
・一般病床2棟:93床
・回復期リハビリテーション病棟:38床


   公立森町病院