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Raffineのある風景 ―医療法人 山下病院


医療法人 山下病院


日本でトップクラスの消化器専門病院の道を歩む

服部昌志氏
理事長・服部昌志氏。
「お腹の病気になったら山下病院があるから安心
だね、といってもらえる存在でありたいですね」
今回ご紹介する山下病院は、1901年に濃尾大地震にみまわれ、西洋医学の必要性を痛感した地域住民の要請で、内科、外科、婦人科を診療科目とする尾張地方唯一の病院として設立された施設である。「私の祖母方の曽祖父にあたる山下隆が開業しました」、こう語るのは同院理事長・服部昌志氏(消化器内科専門)。第二次世界大戦後、200床の病院として地域医療の一翼を担ってきたが、1994年、病院の理念を徹底させるため、あえて144床までダウンサイジングし、消化器病を中心とする病院として新しいスタートを切った。

「民間病院は何でも屋として規模を追求するのではなく特色をもたなければいけない、という前理事長の考えからです。当時近隣にあった、循環器分野で全国的に評価の高い病院とお互いの環境を維持する契約を結び、よい連携が生まれていました」(服部氏)。2008年頃には、その循環器系病院が市民病院に吸収合併となり「病院それぞれが特長を生かす流れが途切れてしまった」(同院院長・片山信氏(消化器外科専門))ものの、同院の消化器専門病院というスタンスは不動。「消化器だったら山下病院に来れば間違いないといわれる施設に」 の想いで今までやってきた、と服部氏は来し方を振り返る。「わが国有数のハイクラスな専門病院が地域の専門医療を担うことで、患者さんは遠くまで行かなくてすむなど、いろいろなメリットを受けられるのです」(服部氏)

画像診断機器のとらえ方について片山氏は、「上部消化管造影検査(UGI:Upper gastrointestinal tract)は外部の方々が勉強のために写真を持って来院するほどのレベルですし、
片山信氏
院長・片山信氏。
「導入するとなったら一番先に一番よいものを入れ
てしまおうと考える。もちろんRaffineもその1例
です」
大腸CT検査(後出)は完全に日本のトップを走っています。これら高い技術を発揮するために、よい機器はすぐに導入する。最新機器導入における逡巡は今まで皆無です」 と話した上で 「でもそれは、何でも湯水のようにお金を使うということではない。その機器があくまで患者さんのためになるのであれば積極的に取り入れる姿勢」 である点を強調する。

服部氏も 「消化器専門病院である以上、消化器に関しては絶対に一定の全国レベルを超えたところにいなければいけない」と口をそろえる。「民間病院なので、最先端といっても研究レベルの機器に手を出す気はありません。一方で大腸CT検査のように、保険が通らなかったときから十分に確立された技術で、かつ患者さんにとってもメリットがあるものであれば取り入れていく姿勢です。一般的な消化器病院よりは絶対に一歩前に出ていたいと思っています」(服部氏)


よい腕をもっている人によい装置を供与したい

山崎通尋氏
放射線部部長・山崎通尋氏。
「ユーザの立場から見た東芝社のよさはメンテナン
ス。新旧を問わず、装置に不具合があった場合の
対応はきわめて真摯だと感じます」
同院の放射線科は常勤診療放射線技師10名で構成されている。おもな業務は消化管撮影、超音 波検査、CT検査、乳腺撮影と、X線TVを使用した診断、治療検査。医師、看護師とともにチーム医療の一員としてたずさわっている(胃がん検診専門認定技師5名、超音波検査士3名、マンモグラフィ認定技師4名)。

「以前、健診センターでは、X線TVはアナログ装置を4台使っており、更新にあたっては当然デジタル化が前提。そこでI.I.DR かFPDかの選択になり、当初はI.I.DR で検討しました」。こう語るのは同院放射線部部長・山崎通尋氏。「そこへ東芝社からRaffineの存在をお聞きし、FPD搭載製品の中でも高性能かつコストパフォーマンスに優れた装置ということで、3台同時購入を決定しました。よい腕をもっている人によい装置を供与したい思いが私自身も強かったので」

同院放射線技師長・大島暑四氏も検査件数(約60名/日)など、同院と同じような条件で使っている他施設を視察し、画像や使い勝手、患者情報入力の様子などを詳細にリサーチした結果をふまえ、「購入を強く要望」した。「昨年末に導入し、今年1月より稼働していますが、自分の思っていたような画像が出ること、使い勝手のよさに満足しています」、こう語る大島氏。「ただ、術者が満足していても読影する先生が満足できなければ意味がありません。デジタル撮影を行う施設では一般的にメリハリのある画像を求めている印象がありますが、当院の消化管撮影ではフィルム時代から 『エッジが立った』 『メリハリのある』 画像とは逆の方向性で撮影を行っています。フィルム時代から使用しているバリウムをひきつづき
大島暑四氏
放射線技師長・大島暑四氏。
「一定のレベルの技術が確立されたスタッフに、そ
れに見合った装置が入れば、より高いステージに
上がることができる。そのように病院に判断してい
ただいたことは、とてもうれしいですね」
採用しており、その際にRaffineの画像がどう出るか、実は心配していたのです」

結果的に、大島氏の心配は杞憂に終わった。東芝社に相談したところ画像調整のパラメータもさまざまに組むことが可能とわかり 「実際の画像を読影医の先生方にお見せして回ったところ 『満足』 とのご返答を頂戴し、安心しました。Raffineは施設ごとのバリウムの違いや求める画像の要望に十分に対応してくれています」。服部氏も 「われわれにはアナログ画像の方が微細な病変を見つけやすいところがあり、大島技師にも 『あまりデジタル寄りの画像にはしないでほしい』 と注文をつけていたのですが、実際に当院のRaffineの画像を見ると、フィルムとまったく遜色がなかった」 と喜ぶ。「デジタル化した以上はデジタルの価値を十二分に引き出さなければなりません。FPDによって画面が四角になり、絞りを縦横で調節でき、かつて読影医が読影していたのと同じ四角の画面が、より大きな画面で表現される。階調がアナログに近い状態で持ち出せて、先生方も違和感なく見られる。画面は大きくなったけれど粗くなったわけではない」(大島氏)

「ただ、」大島氏は語る。「読影医の先生方には現在の設定パラメータでの技術を評価してもらって いますが、今後は装置本来の機能で上積みできるものがあるはずだ、とは感じています。この点に ついては将来に向けて東芝社と話し合いを続け、パラメータでプリセットを何種類か作っておけば、 他施設から来た若い先生方にも違和感なく受け入れてもらえると思っています」

Raffineはワークフローや使い勝手も大いに改善してくれた、と大島氏は話す。「患者さんの情報の登録をCSVファイルで管理していますが、飛び入りの検査が入っても手入力での登録が可能で普通のPCと同じ感覚です。モニタのGUI も絵柄表示によりわかりやすく操作できる」。同院では膨大な検査件数をこなす関係上、「今までのアナログ装置だと管球がオーバーヒートになり、わざわざファンをつけて強制冷却を行わなければならなかった」 のだが、陽極熱容量600 kHUの大容量X線管により、安心して膨大な検査もこなすことができるとのこと。また 「電源ONして40秒で透視撮影可能となるまでの立ち上がりの速さは素晴らしい。検査室環境も通常室温、かつ使用時のみの通電でOKですし」 と、ランニングコストを削減できるところも評価している。


デジタル化で問われる「技師の読影力」

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Raffineを囲んで、同院放射線科スタッフ集合。
大島氏が挙げるデジタル化のメリットの1つに 「術者にいいわけを許さないところ」 がある。「アナログ時代はフィルム現像のために、術者が仮に撮影のタイミングをはずしてしまった場合、『こうなる予定で撮りました』 といわれるとそれ以上追及できなかった。でも今は目の前のモニタにリアルタイムで撮影像が映し出され、『どうして?』 と追及することができます」。また 「消化器専門病院という性格上、フィルム時代は撮影枚数が多く、フィルム代や現像代などのコストがかかっていた」 のだが、「それがデジタル化により大幅に削減された点も見逃せません」(大島氏)

「今までの一般的な施設における胃の検査は 『技師が撮った写真から読影医に見つけてもらう』感 覚だったのが、デジタル化の透視像、撮影像の高画質化により 『技師が見つけて読影医に “ここ にある” と訴える写真をつくらなければいけない』 時代に入ったのです」 と指摘する大島氏。片山氏 は 「 『技師の透視による読影所
中澤三郎氏
同院名誉院長・中澤三郎氏(前列右)を迎え、症例検討会
(読影勉強会)を隔週で開催(下写真)。
見』 に合わせた写真を出すべき」 と、さらに進んだ将来像を展望する。「将来は技師の中でUGI 診断技術をもった方に対する認定制度を設ける動きが出てくるでしょう」 と説く片山氏を受け、大島氏はその動きが 「近い将来活発化してくる」 と話す。「いま検診は 『読影に耐え得る写真をつくる』 レベル。われわれは受診者がどこの検診施設で受診しても 『一定の精度が保てる』 を目標にしてきました。しかし、時代は 『写真をつくる』 から 『読影をも担える診療放射線技師を育てること』 が期待されている。

その観点からNPO法人日本消化器がん検診精度管理評価機構は各支部単位できめ細やかなセミナーなどを行っているのです」。日本消化器がん検診学会などで最近よく耳にする 『読影補助』 という語句が登場するはるか前、30数年前から同院では技師による所見の提出を行っているが、「先代の名誉顧問から呼び名を 『一次読影』 に変えるよう指導を受けました。デジタル時代とは、技師が病変を透視で
raffine_08_007.jpg
症例検討会(読影勉強会)
同院スタッフの弛まぬ研鑽の一端を示している。
見つけて読影医に証拠(撮影像)を提示して、所見を訴えかける時代なのだと感じます」(大島氏)。片山氏も 「検査を行う術者がいちばんよくわかるわけで、『わかっていることを教えてくれよ』 が当院のスタンス。私たちも勉強しますし。そんなやり取りがよい結果につながって いるとも思いますね」

そうした観点からも、大島氏は胃透視検査におけるRaffineの透視像について満足しているという。「当然、病変は透視像がきれいでないと見つけられません」。同氏はまた 「将来的にはクリアな透視像を収集することを基本とし、病変を見つけたら撮影像を1~2枚撮ればよい、となれば 『リアルタイム診断のための透視像、撮影像はその証拠』 という検査が実現するでしょう」 と胃透視検査の将来像を語る。


高精度かつ受診者の負担の少ない検診をめざす

山下ラウンジ
同院は看護ケアサービスを愛知県で最初に始めた病院の1
つである。写真は2階の山下ラウンジ。「先代理事長の時代
からホスピターレという考え方のもと、癒しスペースとして設
けられました。ボランティアの方が管理する図書室(写真)や、
患者さんのご家族が休まれるスペースがあります」(片山氏)
ここで同院の検査におけるもう1つの大きな柱、大腸CT検査についてもふれておこう。同院健診センターでは、前処置でバリウムを使用するタギング法を今年3月より開始し、大腸内視鏡検査でネックだった下剤量を約10分の1に抑えることが可能となった。「この方法を今後徹底的に進めることで、高精度かつ受診者の負担の少ない検診を増やし、早期発見の確率を高めていくために先頭を切ってやっていきたい」 と片山氏は抱負を述べる。大腸CT検査担当の山崎氏も 「現在までで40例ほどですが、よい結果が得られています。被ばく低減でも東芝社の最新被ばく低減技術AIDR 3D搭載のAquilion/CXL Edition(64列マルチスライスCT)を今年1月に導入し、新しい再構成技術によりこれまでの16列の装置に比べて大幅に被ばく量を低減できる。スクリーニング目的の検査なので、今後はさらに自然放射線量のレベルまで落とし全国に普及させていくことができれば、と考えています」 と将来への展望を語る。

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同院の主要使用機器にはRaffineのほかにもマルチスライ
スCT Aquilion/CXL Edition (左写真)、Aquilion、超
音波診断装置Aplio 500(右写真)、Xario など数多くの
東芝社製品がラインナップされている。
最後に 「バリウムを使用したUGI は消化器疾患検査の原点」 と強調する片山氏。「この検査がなけ ればすべての画像診断は存在しなかったわけで、UGI がなくなることはあり得ません。優れた撮影技術はもちろん必要ですが、その一方でだれが撮っても、また少々条件が悪くても撮っている最中にものがわかる、ある水準に達した画像を実現できるデジタル化のもたらしたメリットは計り知れないものがありますね」

「当院に来ていただいた限りはどんな早期の病変でも絶対に見逃さない、という気概をもってこれからもやっていきます」(服部氏)。同院の、トップランナーとしての発展に、今後も注目していきたい。

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Raffineによる臨床画像
                                                                                                                                       

医療法人 山下病院

 
〒491-8531
愛知県一宮市中町1-3-5
TEL.0586-45-4511
FAX. 0586-46-3118
URL http://www.yamashita-hp.jp
・診療科目:消化器科(内科部門・外科部門)、麻酔科
・病床数: 一般 99床、人間ドック 3床 計102床(うち個室52室)
・健診センター: 受診者60名/日
・スタッフ:常勤16名、保健師1名、看護師(正・准)92名、薬 剤師3名、診療放射線技師10名、臨床検査技師6名、管理栄養士 2名、栄養士1名、調理師3名、事務職員など29名


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